フィデューシャリー・ESG 原則に係る行動指針への取組み状況について

2017年4月28日
日興アセットマネジメント株式会社
代表取締役社長 柴田拓美

 フィデューシャリー原則の追求、つまり、お客様本位の業務運営を図ることは、資産運用に携わる人々の業務の本分そのものです。加えて、私たちは、ESG(環境・社会・ガバナンス)評価やスチュワードシップ活動を投資プロセスの中核に置く努力をしています。企業の株主総会における議決権行使を含めて、投資先企業に対するスチュワードシップ活動は大切です。私たちはこの活動を積極的に行う一方で、弊社の社外役員を中心にした監督委員会に監督をしていただいています。

 従いまして、私たちは金融庁の「顧客本位の業務運営に関する原則」の総てを受け入れ、過去、現在、未来に亘る不断の努力の対象として位置付け、積極的に推進いたします。また金融庁の新「スチュワードシップ・コード」も総て受け入れるだけでなく、今後も独自の努力を積み重ねていきます。私たちは、これを完成することのない、永遠に目指し続けるゴールだと考えているからです。

I.顧客本位の業務運営

A.「フィデューシャリー・ESG原則に関する取組みと遵守に係る規程」と「フィデューシャリー・ESG原則に係る行動指針」

 弊社はフィデューシャリー原則を、資産運用業務の根本理念として追求していきます。その根本理念を規程・行動指針という形で明確化したい。加えて機関投資家としての受託者責任を遂行するための運用の中核概念、ESG原則を定めたい。そう考えました。そこで、フィデューシャリー原則とESG原則の両方を組み込んだ規程と行動指針を定めることにいたしました。「フィデューシャリー・ESG原則に関する取組みと遵守に係る規程」と「フィデューシャリー・ESG原則に係る行動指針」を2016年11月に制定した所以です。

 フィデューシャリー原則とESG原則の二つの原則は、弊社では資産運用業務の最上位の概念として位置付けられています。この二つの概念を含んだ規程と行動指針は取締役会で決議され、実行状況については取締役会で報告され議論される体制をとっています。また、両原則は弊社HPでも開示されています。

B.具体的な取組み状況

1.運用の高度化

 a.議決権行使とスチュワードシップ活動

 ※投資先企業の価値を投資家の立場から向上させるお手伝いをすること、つまり、議決権行使を含むスチュワードシップ活動を通じて企業の持続的な成長をお手伝いすることは、機関投資家としての責務です。投資先の会社の幹部に対してお話をさせていただく訳ですから、スチュワードシップ活動については特に、自らを律することが大切になります。社内のガバナンスを強固なものとし、社外的な透明性を強化する必要があります。そのために「スチュワードシップ&議決権政策監督委員会」を、2016年6月に発足させました。この監督委員会は、議長も社外役員ですし、委員の過半数も社外役員が占める体制をとっています。四半期毎に会合を持ち、この委員会は独立した立場から、議決権行使の方針を決定し、監督活動の一環として、議決権行使状況のモニタリング、指導などを行います。

 ※弊社では、アクティブ投資家として通常のスチュワードシップ活動を行っています。しかしそれだけでは充分ではありません。パッシブ投資分野こそ、長期投資家であることを宿命づけられているのですから、この分野でのスチュワードシップ活動の重要性は高いのです。そこでパッシブ投資家としても、スチュワードシップ活動に力を入れています。この活動を強化する目的で、2017年3月に、パッシブ戦略を含めた全保有株式について、投資先の企業価値・株主価値向上を促進するための努力をする専門のグループを発足させました。そうすることで、弊社は投資先企業とのエンゲージメントを深めることができ、投資先企業の株主価値の拡大化を図る目的をもって議決権行使をしていく活動をさらに推進できます。ますます高度化する機関投資家としての受託者責任を全うするための取組みです。

 b.ESG(環境・社会・ガバナンス)

 ※2007年から、弊社は国連の責任投資原則(Principles for Responsible Investment)の署名機関になっています。運用機関としてはかなり先駆け的な動きですが、これは、長期的な企業価値の創造と持続可能責任投資に寄与したいという弊社のコミットメントの現れです。このESGへの取組みをさらに全世界的に推進していくために、2016年11月にESGグローバルステアリングコミッティーを発足させました。この委員会は、国内外の運用拠点のリーダーがメンバーとなり、ESG投資の取組みや実践方法、新たなアプローチ方法などを協議し、運用部隊としての意思決定を積み重ねています。

 c.プロとしての運用部隊

 ※弊社は運用部隊をプロとして位置付けており、ファンド・マネージャーもアナリストも独自のキャリア・パスを持っています。また長期の運用成績を重視した評価・報酬体系を採っています。加えて、運用者にとって魅力的な職場になるための努力をするだけでなく、主要な運用者のためのリテンションの仕組みをグローバルに導入しています。

 ※また、弊社は、リスク・マネジメントを重視しており、グローバルなリスク・マネジメント部隊を置いています。チェック・アンド・バランスがあって初めて、お客様からお預かりした資金の運用が可能になるからです。

 ※運用部隊をサポートし、監視するコンプライアンス部隊も強化しています。

2.お客様の利益のための商品開発と、お客様との利益相反を防ぐプロセス

 ※お客様のために商品開発を行う過程で、国内外の市場環境、法令・諸規則、商品の特徴やリスク特性、費用などについて、様々な観点から、投資対象について徹底した分析と調査を行います。その商品開発がお客様の利益に適ったものになるように、またお客様との利益相反を防ぐプロセスを商品開発に組み込むことで、お客様の信頼に足りうる商品を提供できるようになると考えています。私たちは日々の努力を積み上げていきます。

 ※また、個人のお客様の中長期的な資産形成のためにも、息の長い成長テーマに沿った株式ファンドの開発、市場環境の変化に対応していくマルチアセット型商品の開発、リスク分散したバランス・ファンド、費用効率の良いインデックス投信、ETF、ノーロード型の投信の開発にも注力していきます。そして、投資方針や商品のリスク特性、各種の手数料等情報について分かりやすく透明性の高い表現をする努力を重ねて、お客様向けの資料の作成を行っていきたいと考えています。

 ※弊社では、リスク管理の観点から、地政学リスクに係る情報収集や分析に力を入れています。分かりやすい情報発信をする努力が重要だと考えています。そうした観点から、地政学リスクの分析を専門とするユーラシア・グループと提携しています。また、地政学リスクはチャンスももたらします。弊社では地政学の知見をファンド運営の要素に組み込んだ商品も開発しています。また、この分野で一般向け公開討論会を開催するなど、情報発信の形で、お客様の投資判断に役立てていただくような活動を行っています。

3.お客様の利益のための販売活動と、お客様との利益相反を防ぐプロセス

 ※弊社は運用会社としてお客様の長期的な資産形成のお役に立つことを最大の使命としています。資産運用会社のビジネスは、お客様の資産と共に成長して初めて成長できるビジネスです。従いまして、弊社の営業活動におきましては、お客様の資産形成のお役に立つための総合的な活動とその成果を個々人および担当の部隊の業績評価の対象にしています。

 ※弊社は個人のお客様に対する直接の販売活動は行っていませんが、弊社の商品は販売会社の販売員のみなさまや、ネット販売窓口などを通じて、販売されています。こうした大きな枠組みの中で、私たちの役割を果たすとなると、個人の投資家の皆さまへの情報発信、販売員の方々への適切な情報提供、研修活動、広告などを通じて、最終的には個人のお客様の投資判断に資する活動をすることにあります。こうした活動は、弊社の商品の販売に直接つながるような場合だけではなく、一般的な啓蒙活動も含まれます。従いまして、弊社の販売活動に従事する社員の報酬体系は歩合給の形をとらず、総合的な業績評価による形をとっています。

 ※また、機関投資家のお客様に対しては、お客様のニーズをお伺いして、ニーズに応えようと努力することが出発点となりますが、その上でお客様のリスク選好度に応じた運用商品を提案させていただく。それが、弊社の販売活動の形となります。ここでも、弊社の報酬体系は歩合給の形を取らず、総合的な業績評価による形をとっています。

 ※弊社は運用会社であり、運用会社は個人のお客様に対しても、機関投資家であるお客様に対しても、常にお客様の利益を最優先にすることを求められる業種です。常にお客さまの利益を最優先にする行動をとるよう、日々の努力を積み重ねると同時に、社内の研修・啓蒙活動を積み重ねてまいります。

4.商品内容を正しく理解していただくための分かりやすいディスクロージャーと啓蒙活動

 ※弊社は、投資のためになるべくニュートラルな情報を発信することで、お客様の資産形成にお役に立ちたいと考えています。2008年より、「ファンドアカデミー」ブランドのもとで、個人のお客様だけでなく、お取引のない販売会社でも、また、将来のお客様になるかもしれないけれども今のお客様ではない学生の方々も含む一般の皆様も対象にして、投資、投資信託について私たちが必要と考える知識と情報を提供しています。こういった情報発信の地道な努力が、現在と将来のお客様のお役に立つことができればよいな、ひいては投資信託業界全体の健全な発展のために、小さな貢献ではありますが、少しでも繋がればよいなと考えています。

 【日興AMファンドアカデミー】
 www.nikkoam.com/fund-academy

「楽読(ラクヨミ)」

経済指標や市場動向をタイムリーに解説付きで配信。読みやすさと使いやすさを考慮し、1ページに1テーマで作成しています。
「こよみ(コールセンターの小さなよみもの)」

弊社コールセンターが受ける「よくある疑問」を取り上げ、マンガも使って分かりやすく説明するシリーズです。
「語句よみ(ごくよみ)」

経済・投資・投資信託に関する基礎用語を、いわゆる用語辞典の形ではなく、弊社新入社員が一緒になって勉強するというストーリー仕立てのレポートです。
「『ファンドのトリセツ』シリーズ」

投資家向けの初級コンテンツとして作成した小冊子です。現時点では、「ファンド選びの時最初に読む本」、「リスクの本」、「為替ヘッジが分かる本」、「資源が分かる本」等があります。
「『お伝えしたいこと』シリーズ」

市場環境に大きな変動があった際の対応方法や、長期投資や分散投資、積立投資の重要性を説くシリーズです。

 ※今後もより投資家にとって分かりやすいディスクロージャーとは何かの追求をし続けます。

5.コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス、管理態勢強化への継続的な取組み

 ※弊社は、国内外の資本市場と資産運用業に長く身を置いた経営陣が、経営を行う業務執行体制を採っています。経験が長ければ良い訳ではありませんが、経験とそれがもたらすネットワークはそれなりに業務の役に立ちます。その業務執行部隊を、複数の独立社外取締役を持つ取締役会が監督する。私たちはこのガバナンスの仕組みを長年維持してきました。今後も社外取締役を持つ取締役会への報告機能を充実させることで、取締役会による監督の実効性を上げ、ガバナンスの機能をさらに強化していく決意です。

 ※フィデューシャリー原則とESG原則は、投資家の利益推進のための活動に大切な概念です。私たちは、この両原則を最高位の概念として経営をしていきたいと考えています。そのために必要となる現場の独立性を担保する仕組みは出来ています。投資先の選定や株主総会での議決権行使についても、外部からの干渉は一切ありません。運用部隊も、チェック・アンド・バランスのもとで、最大限の独立性が与えられています。その範囲では、極めて高い経営の独立性が与えられている会社です。今後も、株主や社外取締役による経営への牽制機能や経営の透明性確保のため、社外取締役との密接な情報連携や意見交換の機会を図ってまいります。

 ※私たちは、インベストメントチェーンの重要な役割を担う販売会社を大切にする会社です。その結果、販売会社との関係は非常に幅広く、かつ多岐に亘るものとなっています。従って、同業他社との競争は健全であり、それなりに厳しいものですが、それがお客様のための商品開発、商品提供、情報提供の努力を強めていくための動機付けとなっています。

 ※弊社では、経営陣と社員が一体となりコンプライアンスを遵守する企業風土の醸成とプロセス構築に日々努力しています。業界最高水準のコンプライアンス体制の確立と維持を目標として、絶え間ない努力を行っていきます。

 ※昨年度より、すべての管理部門の責任者およびフロントの管理担当者が参加するグローバルな管理会議を定例化することで、業務運営の完全性、透明性、継続性を強化するだけでなく、業務の品質管理をグローバルに徹底することで、お客様のための業務の品質管理を徹底する努力を開始しております。

II.最後に

フィデューシャリー原則とESG原則への取り組みは、決して終わることのない継続的な取り組みです。そのことを肝に銘じて、終わりのない継続的な努力を積み重ねてまいります。

以上

ESG
日興アセットマネジメントのESGへの取り組みはこちら。