よく、投信や株式の「売り時はいつ?」「どうやって判断するの?」と聞かれます。”潤いのあるくらし”を目指すために長期投資するという考えから、売り時は値上がりしたからではない、ということをお伝えしました。今回は、余裕資金で機動的に運用するケースを考えてみましょう。

「値上がりしたから売る」、でもすぐ買うなら同じ値段

 正直なところ、20%値上がりしたら売った方が良い、などといった黄金律(普遍的な考え)はないと思います。購入時の2倍になるかもしれないし、20%値上がりした後に横ばいになるかもしれません。また、20%値下がりしたら売る、といった黄金律もないと思います。

 資産形成のコア(じっくり育てる部分)となるバランス型投資と異なり、機動的な売買判断もあり得る余裕資金のサテライト(リスクを取って高いリターンを目指す部分)投資では、突き詰めると「投資家のアニマル・スピリッツ(野心)」が必要です。例えば、インドが今以上に経済成長する、ロボットが人間の生活に浸透する、宇宙旅行が一般的になる、といったことが実現すると思えば、投資対象をアニマルスピリッツで選び夢や期待が実現するまで長期投資することは良いことです。

 このような長期的な観点から国・地域や成長テーマに投資する場合の売り時は、夢や期待が現実になった時です。20%値上がりしたからではありません。一方で、単にこのところ市場で話題として「流行っている」投資テーマについて、関連銘柄も値上がりするだろう、と需給の見込みで投資する方もおられるでしょう。これは趣味としての投資であり、タイミングが大切なのでしょうから、チャートなども含めて、自由にお楽しみいただければ良いと思います。

「何が儲かるの?」「何が人気なの?」ではなく、経済トレンドを見る感性が大切

 サテライト投資をする際、「何が儲かるの?」「何が人気なの?」といった観点で商品を見る方が多いのではないでしょうか。逆の見方をすれば、これは「みんなが買っている」「今流行っている」から、多くの人が買うのでパフォーマンスが良くなるだろう、という考え方です。

 多くの人が一度に買えばインパクトは大きくなり、一時的には値上がりすることもあり得ます。しかし、すぐに元のあるべき価格に戻ると考えられるのです。長期に良い投資成果を上げるには、先に触れたロボット社会や宇宙旅行などが将来現実になる、といった実現可能性に自信が持てるテーマを選択して投資することが大切です。人気投票の結果で商品を選択することは、売り時をどのように決めるかなど、投資態度が不安定になり、好ましくないと思います。

 時間が許せば、気になった投資テーマについて、ご自身が良いと思ったのか、他の人が良いと思ったのかをメモに残し、普段から区別するよう心掛けてみてください。そうすれば、サテライト投資として商品を選ぶ際、市場動向やタイミングを気にするのではなく、世界経済のトレンドを見て、これは良いと思うテーマを選ぶことが大切!、ということに気づいていただけると思います。

「何が儲かるの?」「何が人気なの?」ではなく、経済トレンドを見る感性が大切
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