「一番儲かるのはどれ?」とか、「いま一番人気があるのはどれ?」とか、金融機関の窓口での相談だけでなく、友人や投資の先輩についつい聞いてしまう質問があります。そこには問題が・・・。
「一番儲かりそうなのはどれ?」は何が問題なの?
問題は2つあります。「一番儲かる」投資商品を聞かれても、いつまでに儲けたいのか、資産形成を始めたばかりの30代か、資産を取り崩しながらも長生きに備える70代なのか、今後1年間で一番「儲かる」ものと10年間で「儲かる」ものは違うかもしれないし、儲かるかもしれないが一時的に値下がりするかもしれない場合にどの資産を好むのか・・・、が分からないので返答は難しいです。
もう1つは、「一番儲かる」投資商品を当てられないことです。儲かる順に買えれば良いのですが、未来のことはわかりません。今後、人工知能やロボットの重要性の高まりや新興国の成長、といったことは期待できそうですが、一番を当てようとすることはスリルを楽しむことと同じです。
2つに共通する問題点は、ご自身の「投資の目的」を棚上げにしていることなのです。
「今、一番人気はどれ?」は何が問題なの?
そもそも、「今、一番人気」のある投資商品は、ご自身にとって本当に一番お似合いでしょうか。なんであれ、多くの人に注目されている商品は知っておくことは良いと思います。しかし「一番人気だから買う」というのはあまり感心しません。
多くの場合、この質問をする方はご自身の投資の目的を見失っているのではないでしょうか。「一番儲かるもの」と違って「今、一番人気があるもの」は答えやすい質問なのですが、あなたにとって一番適切なものかどうかは分からないのです。
お勧めは「今の私には何が合うのでしょうか?」
今、資金があって何かに投資しようと思うのであれば、目的を明確にすることです。いつまでに、どの程度の成果を期待して、どの程度のリスク(振れ幅)を負えるのかを、ご自分の家族構成や、資産、収入、年齢などから考えてみましょう。つまり「誰にでも同じ1つの答え」を探すのではなく、「ご自分に一番似合う投資商品」を探す、というように意識や態度を変えてみるわけです。
目的が固まれば、“私にどの投資商品が合いますか?”と質問することができます。信頼できる人に目的を伝えながら、どの投資商品を持てば上手く目的に近づけそうかを考えてもらうことは、「一番儲かるモノ」とか「一番人気のモノ」を聞くよりも、ずっと良いと思います。
そこから一歩進んで、「なぜ株式のような危ない(?)モノに投資するのが適切なのか」といった議論もできると思います(Vol.6、Vol.10を参照ください)。
