「神山流」の経済の見方では、相場観は大事ではありません。長期投資で相場の上下動に一喜一憂することはないのです。株式市場の先行きを考えるなら、まずは投資の目的を明確にしましょう。

なによりも、投資の目的を見失わないように

 投資の目的が、長期で増やしたいのか、1年後に1割儲けたいのか、1日で結果を出したいのか・・、によって、見通しを立てる際の要因の重み付けと行動が異なります。現役世代が引退後の「潤いのあるくらし」のための長期投資ならば、トレンドとそれを動かす要因を知っておけば十分でしょう。しかし、趣味の投機ならば、短いサイクルや経済データなどの結果に対する解釈も大事になることがあります。

【図表】[左図]世界株価指数の長期推移1987年12月~2024年5月、月末値、[右図]世界株価指数の短期推移2023年3月1日~2024年5月31日、日次
  • 指数の著作権等の知的財産権その他一切の権利は、各指数の算出元または公表元に帰属します。
  • (信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成)
  • 上記は過去のものであり、将来を予測するものではありません。

 世界株式への長期分散投資では、世界経済の成長と仕組みへの信頼と、「人は努力し工夫する」ので、世界のどこかで成功が続くことが確認できれば、サイクルの相場観は不要なのです。

要因ごとに市場が動く方向を考える

 それでも、人は経済情勢から市場が動く方向を知りたいものです。株式市場では企業収益が大切ですが、後から結果として知ることになります。市場を動かす「経済」は、消費や設備投資、政府予算、貿易、インフレなどの要因が大切で、この裏側にあるお金の動きがポイントになります。つまり、金融面から中央銀行の政策や金利、為替などが株式市場を動かす、ともいえるのです。

 このほか、市場参加者の心理や見通し社会の志向(ESGなど)、国際政治や地政学も市場を動かす要因となります。

重要性を知り重み付けすること:(売りか買いかで)行動が変わることも

 もし「相場観」が必要であれば、目的に応じて要因を重み付けすることがポイントになります。短期の見通しでは市場心理の変化長期では構造改革や技術革新が大事です。また「短期的に上がる」見通しでも、短期なら戻り売り長期なら買い増しとなり、目的によって投資行動が変わります。でも、長期投資ならば、相場観ではなく、今起こっていることを整理しておけば十分なのです。