Vol.6では、バランス型投資信託で中心に据えておきたい、リターンを稼ぐ株式の魅力についてお伝えしました。今回は、株式・リート(不動産投資信託)・債券の仕組みをおさらいし、ご自身の目的に合った組み合わせ方の理解を深めていただこうと思います。

株式:「儲かるほど・成長するほど分配が増える」という画期的な仕組み

株式は、元本の返済も金利の支払いの約束もなく、儲かった時だけ配当が出る仕組みです。なぜ、こんなひどい(?)契約がまかり通るのでしょうか。それは、一般的に、株式を発行した会社が儲かれば儲かるほど株主への配当を増やすという画期的な仕組みだからです。株主は、事業リスクを取る(利益が減れば分配も減ります)代わりに、事業の成功や成長の分配を上限なしに受け取ることができ、経営者を選ぶ権利(議決権)も与えられます。このハイブリッドな仕組みが株式の魅力です。まさに、ご自身が経営したり働いたりせず「お金に働いてもらう」仕組みなのです。

リート:不動産株式と違って、家賃収入を分配してもらう

不動産会社は、物件の売買や管理、賃貸から得られる収益の多くを内部留保し、次の有望な不動産開発などに資金を使いますが、リートはオフィスビルなどを貸して得た家賃収入からコストを引いた利益の多くを分配する仕組みです。また、リートは魅力ある新規物件の取得やリノベーション(大規模な物件の改修)などで魅力を高め、より有利な賃料が得られるように家賃を使いますが、利益を内部留保して成長することを想定していません。リートへの投資は、「大家」として空室リスクなどの事業リスクを負う代わりに、債券よりも高く、株式よりは低いリターンを期待することになります。

債券:元本の保全が目的

債券は、預貯金と似た役割があります。債券は最初に決められた期限にお金を返すことを約束し、あらかじめ決められた金利を保有者に支払います。会社が発行する社債の場合は、利益が出ても、支払われる金利や償還金は増えません。もちろん、会社が倒産したり金利が払えなくなる場合はありますが、債券への投資は、そのリスクを負って預貯金よりも少し高い利回りを期待することになります。

投資の中心にはリターンを稼ぐ株式を、次に安定した収入が期待されるリートを

「潤いのあるくらし」を送るためにも、元本を保全するだけではなく、会社の事業や不動産の空室などのリスクを負うことで、「インフレ率+3%」のリターンを目指していただきたいと思います。資産形成世代は、株式を軸に少しリスクが高くても時間を味方につけて世界に分散投資を、お金を取り崩す引退世代は、人生100年時代に「潤いのあるくらし」を続けるために分配重視のリートにも注目することが良さそうです。また、株式とリートだけでは目指していただきたいリターンもリスクも大きくなりすぎることがあるので、債券も組み合わせて調整すると良いでしょう。

株式・リート・債券・・・ベストマッチングは?
  • 上図は考え方の一例を示すことを目的としたイメージであり、各資産の比率を推奨するものではありません。