2021年12月の金融市場では、中旬に、新型コロナウイルスの新たな変異株(オミクロン株)に対する懸念が高まったほか、米バイデン政権が成立を目指してきた1.75兆米ドル規模の気候変動・社会保障関連歳出法案「ビルド・バック・ベター法案」について、与党・民主党のマンチン議員が財政への悪影響などを理由に反対の意思を示し、成立の見通しが立たなくなったことなどを受け、株式市場が動揺する局面が見られました。しかし、下旬以降、オミクロン株への過度な懸念が和らいだことなどから投資家心理が改善し、米国の主要株価指数が最高値を更新するなど、株式市場は堅調に推移しました。

オミクロン株の感染状況とウクライナ情勢に注意
オミクロン株の出現以降、世界的に新型ウイルスの感染拡大が続いており、欧州を中心に、ロックダウン(都市封鎖)や飲食店の営業時間短縮、コンサートの開催禁止など、感染拡大抑制に向けた規制措置が強化されています。一方、米バイデン政権は、経済活動に厳しい制限を課すことについて慎重な姿勢を示しており、ワクチン追加接種や検査体制の拡充などを通じた感染拡大抑制を目指しています。今後、感染状況が悪化し、更なる行動制限などにつながる可能性もあり、各国の動向が注目されています。また、ロシアとの間で軍事的緊張が高まっているウクライナ情勢を巡っては、1月9~10日の米露2ヵ国間協議のほか、同12日にNATO(北大西洋条約機構)、同13日にOSCE(欧州安全保障協力機構)がそれぞれロシアと会合を開く予定となっており、事態が緊張緩和に向かうか、注目されます。

米国の金融政策と政治動向
2021年12月に開催された米FOMC(連邦公開市場委員会)では、量的緩和の縮小ペースの加速を決定するなど、金融政策の正常化に前向きなタカ派寄りの姿勢が示されたものの、市場の大きな混乱にはつながりませんでした。1月に開催されるFOMCでは、利上げペースやインフレの見通しなどについて、どのような見方が示されるかが焦点となりそうです。政治面では、成立に向けた見通しが不透明となっている「ビルド・バック・ベター法案」について、バイデン政権は歳出規模を縮小するなどして、法案成立に向けた議論を進める方針を示しており、動向が注目されます。

2021年10-12月期の企業決算が本格化
1月中旬からは、米企業の10-12月期決算発表が本格化します。今後、米国では金融政策の正常化に伴ない、金融相場から業績相場への移行が進むとみられており、企業業績への注目度はこれまで以上に高まる可能性があります。そのため、足元の業績だけでなく、企業の示す見通しなどにも大きな注目が集まると考えられます。

【図表】1月の注目される金融政策および政治・経済イベント
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成。スケジュールは予告なしに変更される可能性があります。
  • 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。