緊急事態宣言の発令などを受けた行動自粛に伴なう消費抑制や、部品供給不足を背景とした自動車産業などでの生産低下などにより、2021年7-9月期の実質GDPは前期比年率換算▲3.6%と、2四半期ぶりのマイナス成長となりました。

一方で、同年10-12月期については、6%を超える水準となることが予想されています。この背景には、緊急事態宣言の解除後、小売店舗や娯楽施設、飲食店などの利用が増加するなど、消費が回復傾向となったことや、部品供給が改善したとみられることなどがあります。

コロナショックからの回復が続く中で、政策面と企業の意識改革などが後押しとなると期待され、日本株式の先行きは明るいと考えられます。

新政権により打ち出された新たな経済対策
岸田政権により2021年11月に発表された経済対策には、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」に向けた諸政策が盛り込まれました。

同対策については、新型コロナウイルス感染症対策や給付金などが注目されがちですが、科学技術立国の実現やデジタル田園都市国家構想など、将来の産業育成の準備も盛り込まれており、日本経済の更なる成長の礎に成り得るとみられます。

株式市場における意識改革も続く
海外に比べ遅れていると言われてきた、企業の意識改革も近年改善が進んでいます。

株式持ち合いの解消や社外取締役の導入を行なったり、投資家との建設的な会話などを意識した行動をとる企業が増加するなかで、2022年4月に東京証券取引所の市場区分の再編が予定されています。

この再編では、収益性や財務の安定性、企業規模や流動性などの指標に加え、上場企業の持続的な企業価値向上への取り組みなどが市場区分の基準として設けられます。

堅調な展開が見込まれる日本の株式市場
足元で、日本の株式市場はコロナショックによる下げを取り戻し、堅調な推移となっています。また、株主還元の強化などを背景に配当金が増加しており、配当金の再投資を考慮した配当込み指数は一段と大きく上昇しています。

この先、新型ウイルスの変異株による感染再拡大や、資源価格などの上昇、人手不足が続く可能性には注意が必要ですが、企業業績の拡大が継続すれば、株式市場は堅調に推移するとみられます。

【図表】TOPIX(東証株価指数)の推移
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。