日本企業の業績回復が鮮明になっています。
新型コロナウイルスの影響を大きく受けた2020年の企業業績に対して、2021年は大幅な増益が見込まれ、コロナ禍以前の水準を上回り、過去最高益を更新する見通しです。さらに、2022年も引き続き増益が見込まれています(グラフ①)。

原価改善や収益力の強化が業績回復に寄与
日本企業の好業績の背景には、コロナ禍を契機に行なわれた企業の収益力向上に向けた努力が奏功したこと(グラフ②)や、サプライチェーンの混乱などを受けた供給制約により、企業の価格交渉力が高まったことが背景にあると考えられます。また、2021年10月から年末にかけて、新型コロナウイルスの新規感染者数が低位で推移する中、経済活動再開の動きが進み、売上高が増加したことも寄与しました。

経済再開に向けた動きや経済政策も追い風に
足元では、オミクロン株の感染拡大が懸念されているものの、重症化するリスクは少ないとの見方が拡がる中、経済活動再開の動きは続いています。2021年12月からは、オミクロン株への効果も期待される、ワクチンの3回目接種や飲み薬の使用が開始されたことは、こうした動きを後押しすると考えられます。また、今後は岸田政権が進める、個人・中小企業などを対象とする給付金支給など経済対策の効果により、個人消費や設備投資が拡大すると期待されます。これにより、これまでコロナ禍による影響を大きく受けてきた内需企業についても、サービス分野などを含めた個人消費の回復を受け、業績の回復が期待されます。

好業績に伴なう株主還元も期待される
なお、近年、企業が株主還元を拡充する動きが強まっており、好業績を背景に、今後、積極的な増配や自社株買いも見込まれます。特に、足元では新型コロナウイルス感染拡大に伴なう投資の抑制などを背景に、現金が積みあがっている企業が多い(グラフ③)ことなどから、増配や自社株買いといった株主還元に加え、将来を見据えた設備投資が行なわれる可能性も高く、株価を下支える要因になると見込まれます。

引き続き、国内外で感染が拡がっているオミクロン株など新型コロナウイルスの感染状況には注視が必要なほか、米国の利上げや中間選挙などといった懸念材料はあるものの、国内外の景気回復とそれに伴なう日本企業の業績改善などが、今後の日本株式の株価上昇につながると期待されます。

【図表】日本企業の業績には改善がみられる
  • 予想値は資料作成時点の市場予想です。
  • 信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。