活況を呈する台湾株式市場、売買代金は倍増
2021年の台湾の主要株価指数(加権指数)は、年央には軟調となったものの年後半にかけて上昇に転じ、年間騰落率は23.7%と、2020年の騰落率(22.8%)を上回り、最高値圏で1年を終えました。こうした株価上昇を主にけん引したのは、好業績が続く半導体関連セクターです。2021年は前年と同様に、世界的に高い半導体需要が続きました。そうした中、加権指数の時価総額構成比で約4割と最大の半導体関連セクターは、同年に約32%もの株価上昇となりました。

また、このところ注目が高まっている「メタバース(仮想世界)」などには高性能な半導体が欠かせないこともあり、これに着目した域内の個人投資家による半導体銘柄の売買が盛んとなり、台湾の株式市場の売買代金が前年比で約2倍となるなど、台湾株式市場は活況を呈しました。

半導体需要は継続
テレワークによるパソコン・タブレットやWiFiなどの通信機器、家庭用のゲーム機器、スマートフォンの需要(販売)増加、それらによるデータ通信量の増大や5G(第5世代移動通信システム)への移行など、半導体へのニーズは依然として高い状況が続いています。

加えて、EV化や自動運転技術などが進む自動車やDX(デジタル・トランスフォーメーション)などの進展も半導体需要を加速させています。またメタバースについては、既存のインターネットよりもさらに高速・大容量のデータ処理が必要であるため、より性能の高いデバイスや膨大なデータを扱うことができるネットワーク環境などが必要なため、これまで以上に高性能な半導体のニーズを生みだす状況となっています。

台湾政府の半導体戦略
台湾の主力産業に成長した半導体に、政府も力を入れています。2021年から台湾政府が取り組んでいる「オングストローム(Å)世代半導体計画」は、生産設備・材料の輸入依存やハイエンドな人材の不足などの問題を解消することで、サプライチェーンの強化や次世代半導体の開発を進め、台湾の半導体分野の世界的競争力を高めようという戦略です。こうした取り組みが、台湾の半導体業界の更なる飛躍につながると見込まれます。

2022年も、堅調なスタート
新年1月中旬、台湾を代表する世界有数の半導体製造企業の2021年10-12月期の決算が発表さ、売上高、純利益ともに過去最高となったことが確認されました。併せて発表された2022年1-3月期の売上高見通しと2022年の設備投資額(計画)はいずれも過去最高額で、年初から明るいニュースとなっています。

台湾の経済や半導体業界にとって、対中関係やサプライチェーンの混乱、新型コロナウイルスの感染動向などには、引き続き注視が必要ではあるものの、2022年も世界的に高水準な需要が見込まれる半導体産業が、台湾の経済や株式市場を後押しすると期待されます。

【図表】[左図]台湾の加権指数と株式売買代金の推移、[右図]加権指数の業種別時価総額構成比率
  • 信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。