グロース株を中心に軟調な推移が続く
世界の金融市場では、2020年に起こったコロナ・ショック以降、世界中で積極的な財政政策・金融緩和政策が打ち出されたことに加え、非接触ニーズの高まりからデジタル化が加速したことなどを受け、ハイテク銘柄を中心とするグロース株が大きく上昇しました。しかし、2021年に入ると、インフレ懸念の高まりなどに伴ない米長期金利が上昇し、グロース株から景気回復の恩恵を受けやすい景気敏感株などのバリュー株へ資金がシフトし始めました。更に、2022年に入ると、米FRB(連邦準備制度理事会)による金融政策の正常化プロセスが従来の想定より早く且つ迅速に進められるとの見方が市場で拡がったことで、グロース株を中心に下げ足が速まりました。

コロナ禍で恩恵を受けた巣ごもり関連銘柄に試練
特にコロナ禍で大きく成長した巣ごもり関連銘柄の多くで、業績の伸びが投資家の期待に届かず、株価が大きく下落したケースが目立ちます。

例えば、米ビデオ会議大手のズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(以下、ズーム)は、20年5-7月期に前年同期比+355%と大きく売上高を伸ばしたものの、2021年夏以降は顧客数の伸びの鈍化などが嫌気され、大きく売られました。しかし、こうした業績の伸びの鈍化について、コロナ禍で大きく成長を遂げた水準(発射台が高い地点)との比較である点には注意が必要です。

企業の将来性を見るには、中長期での視点が肝要
企業業績は、株価の動向に大きな影響を及ぼすことから、株式投資を行なう上で重要な指標と言えます。しかしながら、企業が中長期で大きな成長を遂げるかどうかは、過去の業績だけを見て判断することはできません。

世界の上場企業の中で最も時価総額が大きい(2022年1月21日時点)、米アップルの業績推移を見ると、過去において売上高がマイナス成長となるなど、短期的に業績が悪化する局面がありました。しかし、同社は、iPhoneやiTunesに代表される多くの画期的な製品・サービスを生み出し、多くの顧客からの支持を得ていることで、世界を代表する企業としての地位を確立しています。

短期的な業績だけを重視してしまうと、アップルのような、人々の生活を一変させるイノベーションを起こし、中長期で大きな成長を遂げる銘柄を見逃してしまう可能性があります。足元で株価の下落が目立つグロース銘柄について、一律に成長への期待が持てないと捉えるのではなく、中長期での成長性という観点から、今後の社会の仕組みや人々の生活を劇的に変化させる技術・先進性を有する革新的な企業かどうかを見極めることによって、大きな投資成果につながるものと考えられます。

【図表】[左図]世界(バリュー・グロース)株式の推移、[右図]主なグロース銘柄の業績(売上高:四半期)の推移
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