オミクロン株について、重症化リスクはデルタ株よりも低く、感染が拡大しても景気回復を妨げないとの見方などを背景に、昨年12月下旬に株価が世界的に反発したのに続き、今年1月初めには、独DAXや仏CAC、欧州のストックス・ヨーロッパ600、米国のニューヨーク・ダウ工業株30種、S&P500といった主要株価指数が最高値を更新しました。ところが、その後、米国の超緩和的な金融政策の正常化が前倒しされるとの観測が拡がったほか、足元ではウクライナ情勢が緊迫化していることもあり、株価は再度、調整色を強めました。

そうした一方で、下のグラフのとおり、主要株価指数の予想EPS(1株当たり利益)は一時の停滞を脱し、上昇基調に戻りつつあるように見受けられます。しかも、株価調整を経たこともあり、予想PER(株価収益率)が大きく低下(改善)し、特にDAXやTOPIXの場合には、足元の株価が割安であることも示唆されています。このため、今後、予想EPSの上昇基調が鮮明になれば、株価についても上げ基調を再開すると期待されます。

なお、ウクライナ情勢の悪化を受け、ロシアに対する制裁が導入・強化されており、その影響が西側諸国に跳ね返ってくる可能性には注意が必要ですが、制裁が厳しくなればなるほど、停戦が早まると期待されます。また、新型コロナウイルスに関しては、欧米を中心とした規制緩和・解除の動きに伴ない、経済活動の再開が進展し、企業業績の押し上げにつながると見込まれます。さらに、中国当局が同国景気のテコ入れに前向きになりつつあるとみられることも、プラス要因と考えられます。

【図表】[上図]主要株価指数の予想EPSと米金利の推移、[下図]主要株価指数と予想PERの推移
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。