2022年2月の金融市場では、米国を中心とする高インフレや金融政策引き締めの動きに対する懸念の高まりなどが重石となり、世界の株式市場は軟調な推移となりました。また、ロシアがウクライナに侵攻し、地政学リスクが著しく高まったことも、株式市場の下押し要因となりました。

緊張感が高まるウクライナ情勢
ロシアがウクライナへ侵攻したことを受け、米国やEU(欧州連合)などが追加の制裁措置をとると表明したほか、2月下旬に予定されていた米ロ外相会談や首脳協議が中止となるなど、ウクライナ情勢を巡る緊張感は一層高まっています。各国はロシアへの制裁措置を段階的に強化していますが、大規模な制裁措置は世界経済へ悪影響が及ぶ恐れもあることから、難しい舵取りを迫られています。対話によって緊張緩和に向けた道筋をつけられるのか、今後の行方に大きな注目が集まっています。

引き続き注目される米国の金融政策の動向
市場では、米FRB(連邦準備制度理事会)による金融政策の動向が引き続き注目されています。1月のFOMC(連邦公開市場委員会)の議事要旨では、高インフレが予想以上に長く続いており、政策金利を早期に引き上げることが望ましいとの参加者の見方が示されました。こうしたことから、3月の会合では、2018年12月以来となる利上げが決定される見通しであり、利上げ幅が0.25ポイントにとどまるか、0.5ポイントとなるかが焦点となっています。また、FRBは保有資産の縮小にも早期に着手する方針を示しています。長期化した金融緩和政策の副作用を懸念する声もあり、2日からのFRB議長による上下両院での議会証言や、15日からのFOMCで、今後の政策運営に関してどのような方針が示されるか、注目されます。

中国の重要な政策を定める全人代
中国では5日から、第13期全人代(全国人民代表大会、国会に相当)第5回会議が開幕します。同会議では、中国の各省や軍などから約3千人が集まり、政府予算や各種政策など、国の運営に関わる重要な施策について審議や発表が行なわれます。近年、中国経済は需要減や供給制約に悩まされており、全人代で経済成長の目標をどの程度の水準に設定するのかや、成長目標を達成するためにどのような施策が打たれるのかなど、様々な点に注目が集まっています。今秋には中国共産党大会が開かれることもあり、習近平国家主席が減速傾向にある中国経済をどのように安定させていくのか、市場から高い関心が寄せられています。

【図表】3月の注目される金融政策および政治・経済イベント
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成。スケジュールは予告なしに変更される可能性があります。
  • 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。