米利上げが想定される2022年の金融市場
2021年のグローバルREITは、新型コロナウイルス向けワクチン接種の進展とそれに伴なう経済活動の再開、世界経済の回復期待などを背景に、年間で33%上昇し、世界株式(+22%)を上回る、堅調な推移となりました。

しかし、2022年に入ると、オミクロン株の感染拡大や米連邦準備制度理事会(FRB)による早期利上げ観測の高まりに加え、ウクライナ情勢の緊迫化などを受け、世界的に株式市場が混乱する中、グローバルREITも軟調な推移となりました。

金利上昇は、REIT価格のマイナス要因に?
足元、米国では、高止まりするインフレ率などを背景に、3月の利上げ開始が濃厚となっており、長期金利も昨年末の水準を上回っています。一般的に金利の上昇は、REITの資金借り入れコストの上昇とそれに伴なう財務悪化リスク、利回り格差の縮⼩によるREITの利回り面での魅力低下などから、REIT価格の下落要因になると考えられています。こうしたことから、グローバルREIT市場で大きなウェートを占める、米国REITの価格動向が注目されています。

金利上昇は必ずしもマイナスとはならない
実際のところはどうなのでしょうか。2001年以降、米国で利上げが実施された局面(A:04年5月~06年6月、B:15年11月~18年12月、左下グラフ点線部分)を見ると、米国REITの価格はむしろ上昇しました(下グラフ・表参照)。近年、REITの負債比率は低下傾向にあり、財務の健全性が向上していることから、財務悪化リスクは利上げを考慮しても低下傾向にあったと考えられます。加えて、利上げが景気回復に伴なうものである場合、景気の好調はREITの収益成長にとって中長期的にプラス要因であることから、必ずしも、利上げがREIT価格にマイナスに働くとは限らないと言えそうです。また、利上げ局面とは別に、過去の米長期金利の上昇期間を見ると、2000年以降では、米国REITの騰落率は、多くの期間でプラスとなりました(下グラフ・表参照)

米国ではインフレ率の高止まりが懸念されており、これが利上げ観測の背景の一つとなっています。一般的に、物価上昇局面では、REITの裏付け資産である不動産の価格や賃料なども上昇しやすくなることから、REITはインフレ耐性が高い資産と言われます。インフレ懸念が高まる局面において価格上昇が期待されるグローバルREITに、投資先の一つとして、注目してみてはいかがでしょうか。

【図表】過去の米長期金利の上昇局面では、REITは概ね堅調に推移
  • 信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。