世界最大の新興企業向け株式市場、ナスダックに上場する企業のうち、金融業を除く時価総額上位100社の株式で構成されるNASDAQ100指数は、2021年12月以降、米FRB(連邦準備制度理事会)による金融政策正常化の動きやウクライナ情勢の緊迫化などから、軟調な推移となっています。
<足元の投資環境>米金融政策の動向などを背景に軟調な推移
NASDAQ100指数は近年、構成上位銘柄である高PER(株価収益率)のハイテク株にけん引され、主要株価指数の中でも特に大きく上昇しました。しかし、2021年11月末にFRB議長が、量的緩和の縮小を加速させる姿勢を示したことをきっかけに長期金利が上昇基調となり、同指数は上値の重い展開となりました。一般に、金利上昇局面では、高PERのグロース株は売られる傾向にあることから、同指数の下落に繋がったとみられます。
2022年に入ると、それに加えてウクライナを巡る地政学リスクが高まりました。2月末以降、欧米が国際的な資金決済網SWIFT(国際銀行間通信協会)からロシアの一部金融機関の排除を決定するなど、対ロ金融・経済制裁が次々と導入されています。こうしたことなどを受けて、株式市場は軟調な推移となりました。
<今後の見通し>中長期では、ハイテク企業の高成長に期待
株式市場は引き続き、米金融政策正常化の動きや、ウクライナを巡る動向によって大きく変動する可能性があります。しかし、企業業績面からは明るい兆しも見られます。新型コロナウイルスに関して、欧米などを中心に規制緩和・解除の動きが急速に進んでいることから、経済活動の再開が進展すれば、企業業績の押し上げに寄与すると見込まれます。米主要株価指数の予想EPS(1株当たり利益)は2021年秋頃にかけて横ばいでの推移となっていましたが、足元では上昇基調に戻りつつあるほか、NASDAQ100指数の予想EPSが他の米主要株価指数と比べて、大きく上振れており、高い利益成長が予想されています。
ウクライナを巡っては、早期の停戦合意は難しいとみられるものの、対ロ制裁の強化や国際世論の高まりなどにより、停戦合意が促されると期待されます。また、足元では、米金融政策の正常化について、これまでの株価調整で一定の織りこみが進んだとの見方もあります。こうしたことなどから、ウクライナを巡る先行き不透明感などが後退すれば、高い利益成長が予想されるNASDAQ100指数が上昇基調に転じると期待されます。
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