日米の家計の金融資産はいずれも、政府による現金給付や、株高による資産価値の上昇などを背景に、過去最高額を更新中です。2021年12月末時点の規模(左下グラフ)は、日本で約2,023兆円、米国では約118.2兆米ドル(約1.36京円、12月末の1米ドル=115.08円で換算)となっています。ただし、それぞれを2000年末の規模と比較(中央グラフ)すると、日本では約1.4倍なのに対し、米国では約3.4倍にも膨らんでおり、拡大ペースに大きな違いが見られます。

米国の家計の金融資産の伸びが相対的に高い理由の1つとして、小さい頃からお金や投資についての教育を受ける機会が多いことなどを背景に多くの人が資産形成に積極的なため、運用リターンの成果を享受していることが挙げられます。米国では、家計の金融資産に占める株式・投信の構成比が5割を超えているだけでなく、保険・年金部分においても、確定拠出年金制度を通じて投信が積極的に活用されています。

これに対して、日本の場合は家計の金融資産の半分以上を現金・預金が占め、株式・投信は15%程度にとどまっているため、運用リターンの効果は米国と比べて限定的となりがちです。

もちろん、投資にはリスクがつきもので、運用リターンは市況などにより変動します。ただし、一般に、投資対象を分散することにより、リスクが低減されるほか、長期投資によって運用リターンは安定化するとされています。また、国内資産に限らず、海外資産にも投資すれば、世界経済の成長の果実を得やすくなると考えられます。

このように、海外の資産も活用し、リスクを抑えながら行なう長期投資の一例が右下のグラフの赤い線です。この例では、2000年末に内外の主要6資産に等金額投資を行なった結果、足元の評価額は約3.5倍に膨らんでいます。こうしたシミュレーションや家計のリスク許容度を踏まえ、単に現金・預金を積み上げるのではなく、「おカネ」を投資に振り向け、働いてもらうことを検討してみてはいかがでしょう。

【図表】[左図]日米の家計金融資産の構成比、[中央図]日米の家計金融資産の推移、[右図]長期分散投資のシミュレーション
  • (右グラフでの使用指数)日本株式:TOPIX(配当込み)、日本債券:FTSE日本国債インデックス(円ベース)、先進国株式:MSCI-KOKUSAIインデックス(配当込み、円ベース)、先進国債券:FTSE世界国債インデックス(除く日本、ヘッジなし・円ベース)、新興国株式:MSCIエマージング・マーケット・インデックス(配当込み、米ドル・ベース)、新興国債券:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド(米ドル・ベース)なお、新興国株式・債券の指数については日興アセットマネジメントが円換算
  • 上記は過去のものおよびシミュレーションであり、将来を約束するものではありません。