3月の金融市場では、上旬はロシアのウクライナ侵攻やそれに伴なう対ロ制裁などの影響を見極めようとの動きが強まり、欧米を中心に株価は下落しました。しかし、中旬に米FRB(連邦準備制度理事会)が利上げを決定したものの、FRB議長が米景気後退の可能性は高まっていないとの見解を示したことなどから、上昇基調に転じました。一方、中国では、新型コロナウイルス感染拡大の影響や、米当局による中国のハイテク企業への締め付けが懸念されたことを受けて、中旬に株価が大きく下落しましたが、中国政府が市場支援策導入の意向を示すと、下げ幅を縮めました。為替は、日米の金融政策の方向性の違いなどから、下旬に円が対米ドルで一時125円台をつけるなど円安が加速しました。

引き続き、ロシア・ウクライナ情勢を巡る動向に注目
ロシア・ウクライナ情勢を巡っては、進展の兆しが見えつつある停戦協議の行方に加えて、①中国によるロシア支援の動向、②ロシア国内の反戦支持の動きなどが注目されます。

①については、ロシアが中国に軍事支援を要請したことに対して、米大統領は、中国がロシア支援を行なえば中国への制裁も辞さない姿勢を示しました。中国は支援を否定しているものの、仮に支援が行なわれ中国に制裁が科されればサプライチェーンへの影響などを通じて、インフレ高進など世界経済の下押しに繋がると懸念されます。

②については、長期にわたりロシア経済・政治を支えた大統領特別代表がウクライナ侵攻に抗議して辞任しており、反戦の動きは国民などにも拡がりつつあることなどから、今後、そうした動きがロシアの停戦に向けた動きに繋がるか注目されます。

約60年ぶりの市場再編が行なわれる東証
4日には、約60年ぶりとなる東京証券取引所の市場再編として、新市場区分への移行が行なわれます。上場企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上を支え、国内外の投資家から高い支持を得られる魅力的な市場を提供することを目的として、市場第一部、第二部、マザーズ、JASDAQの4つの市場がプライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3つに再編されます。これをきっかけに、上場企業が企業価値向上などに向けて積極的な取り組みを推し進めることができれば、将来的な株価上昇に繋がると期待されます。

このほか、中旬に発表が予定されるIMF(国際通貨基金)の世界経済見通しでは、ロシアのウクライナ侵攻による影響を受けて、世界経済の成長率見通しの引き下げが見込まれています。

また、中旬以降に本格化する米企業の1-3月期決算の発表でも、ロシア・ウクライナ情勢の影響が注目されます。

【図表】4月の注目される金融政策および政治・経済イベント
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成。スケジュールは予告なしに変更される可能性があります。
  • 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。