メタバースは巨大な経済圏を構築する見込み
「メタバース」が世界で注目を集めています。メタバースとは、「メタ(超越)」と「ユニバース(宇宙)」を組み合わせた造語で、一般にはデジタル上に構築されたバーチャル(仮想)世界や関連サービスなどを指しますが、本来はデジタルやリアルを問わず、あらゆるものが相互接続された世界を表します。メタバースは進化したインターネットの世界であり、人々のオンライン上での滞在時間が増加するにつれ、現在のインターネットはメタバースに置き換わっていくと言われています。

メタバースで重要な役割を果たすのが、次世代インターネット「Web3.0*」です。Web3.0ではブロックチェーン技術を用いたNFT(非代替性トークン)によって、デジタル資産の真贋や所有権が明確化できるようになったほか、デジタル資産を他のプラットフォームに移動させることも可能となります。こうした技術の進化により、現実世界の様々な経済活動やサービスは次第にメタバースと融合するとみられます。その結果、これまで不可能だった製造業や旅行業、飲食業といった、多様なビジネスがデジタル上で展開され、巨大な経済圏が誕生すると期待されています。

メタバースの入り口、“ゲーム”は日本の得意分野
メタバース黎明期である現在、メタバースと親和性が高い分野として注目されるのがゲーム分野です。世界で親しまれているゲームの中には大国の人口に匹敵する億単位のユーザーを抱えるものもあり、人々を集める場として、新たなビジネスの可能性を模索する様々な企業から関心が寄せられています。そうした中、日本でもメタバースに商機を見出す動きが活発化しています。

そもそもゲームは日本企業が強みを持つ分野であり、ハード・ソフト共に世界的な競争力が蓄積されています。こうしたゲーム産業の人材やノウハウをそのままメタバース分野に転用できることは、大きなアドバンテージとなります。加えて、日本は「クールジャパン」と言われるアニメやマンガを含めたバーチャル文化が非常に発展しており、世界で人気の高いコンテンツやキャラクターのIP(知的財産)を多く有することも、メタバースやNFTを通じて世界に発信できる強みとなっています。

官民が連携し、世界に存在感を示せるか
一方で、日本は法制度や税制がWeb3.0の実情に追いついていないという問題もあります。「韓流コンテンツ」を擁する韓国では既に、メタバースが成長戦略の一つに掲げられているのに対し、日本では3月末に、ようやく自民党のプロジェクトチームによって、Web3.0時代に対応した社会基盤やルールを早急に整備すべきとの提言案が取りまとめられたところです。Web2.0で遅れを取った日本勢が、巨大なデジタル経済を創出する可能性を持つメタバースにおいて、官民が連携していち早く存在感を示せるかが注目されます。

ブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用した分散型ウェブサービス。なお、一般にWebサイトの閲覧が中心の初期のインターネットはWeb1.0、SNSなど双方向のやり取りが可能な現在のインターネットはWeb2.0とされます。

【図表】日本企業によるメタバース関連の取り組み例
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