5月の金融市場では、高インフレが続いていることなどを背景に、米FRB(連邦準備制度理事会)がより積極的な利上げを進めるとの見方が拡がったことや、米小売大手が予想を下回る四半期決算および業績見通しの下方修正を相次ぎ発表したことなどが嫌気され、中旬にかけて株価は下落しました。その後は、米景気の底堅さが維持されるとの見方が拡がったことや、インフレ加速への懸念が弱まったことなどを受け、景気敏感株を中心に買い戻しの動きが進みました。

米欧の金融政策を巡る動向に注目
市場では、米欧の金融政策を巡る動向が引き続き注目されています。5月の米FOMC(連邦公開市場委員会)の議事要旨では、インフレ高進に対応するため、多くの参加者が向こう2回(6月・7月)の会合で0.5ポイントずつの利上げを行なうことが適切と考えていることが示されました。また、欧州でも、ECB(欧州中央銀行)のラガルド総裁が7月には利上げが可能になるとの考えを示すなど、米欧で金融政策の正常化に向けた動きが進む中、市場では急速な利上げに伴なう景気の冷え込みを懸念する声もあがっており、6月の各会合でどのような方向性が示されるか、注目されます。

地政学リスクの更なる高まりに警戒
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、世界的に地政学リスクが高まる中、今月下旬にはNATO(北大西洋条約機構)首脳会議が開催されます。フィンランド・スウェーデンの2ヵ国がNATO加盟の申請を発表したことを受け、ロシアはフィンランドとの国境地域の部隊増強を図るなど反発しています。このような状況下、NATO加盟国がロシアへの対応で足並みを揃えることができるかどうか、首脳会議での内容に注目が集まっています。

日本では経済財政政策に期待
日本では、6月中に骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)が閣議決定される予定です。5月に公開された同方針の原案には、岸田政権の看板政策である「新しい資本主義」の実現に向け、スタートアップや脱炭素・デジタル化など4分野に重点投資を行なう方針が掲げられています。また、岸田首相が示した「資産所得倍増プラン」についても、骨太の方針の内容として盛り込まれる予定となっています。同プランでは、少額投資非課税制度(NISA)の拡充や預貯金を資産運用に誘導する仕組み作りを通じて、資産所得の倍増を目指すとしています。こうした政策の具体策が示され、国内外からの関心を高めることができるか、注目されています。

【図表】6月の注目される金融政策および政治・経済イベント
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成。スケジュールは予告なしに変更される可能性があります。
  • 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。