2会合連続で0.75ポイントの追加利上げを決定
米FRB(連邦準備制度理事会)は、7月26~27日に開催したFOMC(連邦公開市場委員会)で、2会合連続となる0.75ポイントの追加利上げを決定し、政策金利(FFレートの誘導目標)を2.25~2.50%としました。

利上げ幅が市場予想通りとなったほか、パウエルFRB議長が会見で、利上げの継続方針を示したものの、先々の利上げ幅縮小の可能性に言及したことなどもあり、27日の米国市場では、国債利回りが低下したほか、ハイテク株などを中心に株式相場は上昇しました。

インフレ抑制に向け、今後も利上げを継続
米国では、6月の消費者物価指数が前年同月比+9.1%と、1981年1月以来約40年半ぶりの高水準となるなど、高インフレが続いています。FRBは、物価上昇圧力が広範囲におよんでいることなどから、インフレが高止まりしていると判断しており、目標の2%に抑えるべく、引き続き注力する姿勢を改めて示しました。また、パウエル議長は会見で、継続的な利上げが適切と考えているとした上で、次回9月の会合でも0.75ポイントという異例の利上げが適切となる可能性があるとしながらも、利上げのペースは今後の指標や経済見通し次第だとして、事前のガイダンスを示しませんでした。

一方、米長短金利の水準が逆転する「逆イールド」が7月上旬以降続くなど、市場では同国景気の後退観測が拡がっています。この点について同議長は、個人消費や住宅投資は軟調になっているとして、利上げの効果などにより需要が落ち着き始めていることを認めました。ただし、労働市場の需給が引き続き引き締まっている点(右下のグラフ参照)を強調し、米経済は景気後退に陥っていないとの見方を示しました。

FRB議長、利上げペースの将来の緩和に言及
ロシアによるウクライナ侵攻が続いている影響などもあり、高インフレ下でFRBは利上げを継続せざるを得ない状況です。ただし、今回の利上げ局面で合計2.25ポイントの利上げが実施されたことにより、政策金利は、FOMC参加者の多くが「中立金利」と見なしている水準並みとなり、コロナ禍対応の金融緩和は事実上、終わったことになります。こうしたこともあり、パウエル議長は政策金利がより引き上げられる場合、利上げペースを緩めることが適切となる可能性に今回、言及したとみられます。

FRBは、今後のFOMCでも毎回、物価や労働市場などの状況を踏まえ、慎重かつ柔軟な舵取りを行なっていくと期待されます。

【図表】年内のFOMC開催予定(下段:議事要旨の公表日) 【図表】[左図]米国の物価上昇率と政策金利の推移、[右図]米労働市場の主要指標の推移
  • 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。