インターネットの進化形「メタバース」
2007年に米国で初代iPhoneが発売されて以降、世界では急速にスマートフォン(以降、スマホ)が普及しました。その背景の一つには、インターネットの進化があったと考えられます。かつては一方的な情報受信が中心だったインターネットは、2005年頃から双方向のやり取りができるようになり、SNSや動画投稿のように自らも参加できるツールへと進化しました。スマホという手軽にインターネットに接続できる機器を手にしたことにより、人々がオンライン上で過ごす時間は急速に拡大しました。

そして今、インターネットの進化形として最も注目されるのが「メタバース」です。メタバースとは、一般にデジタル上の仮想空間や関連サービスなどを指しますが、本来はデジタルやリアルを問わず、あらゆるものが相互接続された世界を言います。現在はまだ、一つの企業が運用するクローズドメタバースがほとんどですが、やがて複数のプラットフォームやサービスが相互運用されるオープンメタバースに移行すると見込まれます。そこでは現実世界の様々な経済活動がメタバースと融合し、巨大なデジタル経済圏を構築すると期待されます。

参加人数の規模や企業の本気度が違う
「デジタル上の仮想空間」自体は以前からあり、2000年代には「セカンドライフ」が注目を集めました。一時は100万人規模が利用したものの、その後急速に人気を失ったことから、今回も一過性のブームだと考える人もいます。しかし、メタバースが過去のブームと異なる点として、規模の大きさや関わる企業の本気度などが挙げられます。

メタバースと親和性が高いゲーム分野では、大国の人口に匹敵する億単位のユーザーを擁するものがいくつもあり、それらがやがてメタバースの「場」になると目されています。そして、膨大な人数が集まるメタバースに商機を見出す企業は多く、フェイスブックは昨年、社名を「メタ」に変更し、年間100億米ドル以上をメタバース分野に投資するとしたほか、マイクロソフトは今年1月、メタバースの基盤づくりを見据え、同社最大となる687億米ドルのM&Aを発表して世界を驚かせました。また、今年1-5月に企業や投資家がメタバース分野に投資した額は、1,200億米ドルを超えるとの試算もあります。このように、投下される資金が桁違いに大きいことから、企業の本気度の高さがわかります。そうした中、メタバースを取り巻く動きは加速し、関連市場も急速な拡大を遂げると期待されます。

進化を続けるインターネットの未来に注目
テクノロジーの進化と共に、今後、仕事や教育など様々な活動がメタバース内で行なわれるようになり、そこで得られる満足度はいずれ現実世界を上回るとさえ言われています。かつて日本では、「ガラケー」の利便性故にスマホの普及が遅れたという歴史がありますが、もし早期にスマホの将来性を予見して関連企業の株式に投資していれば、相当なリターンを得ることができたでしょう。足元ではインフレや世界経済の減速懸念などから世界の株式は不安定な状況が続いていますが、短期の変動に左右されず、進化を続けるインターネットの未来に注目してみてはいかがでしょうか。

【図表】[左図]世界のゲーム業界におけるM&A事例、[右図]メタバースはいつ本格化すると考えるか
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