日米の家計の金融資産はいずれも、2021年末には過去最高額(それぞれ、2,014兆円、117.9兆米ドル)を記録しました。その後、米長期金利の上昇や世界的な株安などを背景に、直近2022年6月末時点の規模(左下グラフ)は、日本で約2,007兆円と、ピーク比▲0.3%となったほか、米国では約108.7兆米ドルと、同▲7.8%となり、2021年3月末以来の水準に縮小しました。なお、それぞれを2000年末の規模と比較(中央グラフ)すると、日本では約1.4倍なのに対し、米国では約3.2倍と、拡大ペースに大きな違いが見られます。

米国の家計の金融資産の伸びが相対的に高い理由の1つとして、幼い頃からお金や投資についての教育を受ける機会が多いことなどを背景に多くの人が資産形成に積極的なため、運用リターンの成果を享受していることが挙げられます。米国では、家計の金融資産に占める株式・投信の構成比が約5割に及んでいるだけでなく、保険・年金においても、確定拠出年金制度を通じて投信が積極的に活用されています。

これに対して、日本の場合は、家計の金融資産の半分以上を現金・預金が占め、株式・投信は14%程度にとどまっているため、運用リターンの効果は米国と比べて限定的となりがちです。

もちろん、投資にはリスクがつきもので、運用リターンは市況などにより変動します。ただし、一般に、投資対象を分散することにより、リスクが低減されるほか、長期投資によって運用リターンは安定化するとされています。また、国内資産に限らず、海外資産にも分散して投資すれば、世界経済の成長の果実を得やすくなると考えられます。

このように、海外資産も活用し、リスクを抑えながら行なう長期投資の一例が、右下のグラフの赤い線です。この例では、2000年末に内外の主要6資産に等金額投資を行なった結果、足元の評価額は約3.7倍に膨らんでいます。こうしたシミュレーションや家計のリスク許容度を踏まえ、単に現金・預金を積み上げるのではなく、「おカネ」を投資に振り向け、働いてもらうことを検討してみてはいかがでしょう。

【図表】日米の家計金融資産の構成比、日米の家計金融資産の推移、長期分散投資のシミュレーション
  • 上記は過去のものおよびシミュレーションであり、将来を約束するものではありません。