値上げによる家計負担の増加が懸念される
世界的に物価上昇が続く中、日本でも、物価の上昇が続いています。総務省が9月20日に発表した8月の消費者物価指数(全国、生鮮食品を除く総合)は、前年同月比で2.8%上昇し、消費税増税の影響を除くと、30年11ヵ月ぶりの高い伸びとなりました。食品や家電、衣料品など幅広い品目で値上げが行なわれており、特に、生活に身近な食品については、値上げの動きが加速しています。物価上昇に賃金の上昇が追いつかない中、家計への負担がさらに増加することが懸念されます。

年間の食品値上げ品目数は2万を超える
9月1日に発表された帝国データバンクの調査によると、10月は、今年最多の6,500品目以上の食品が値上げされる予定です。また、年間の食品値上げ品目数は累計で2万を超えることが分かっており、各品目の値上げ率は平均で14%に達しています(左下図)。

なお、昨年の値上げは、食用油価格の高騰などが原因であったことから、値上げ実施企業数は限定的でした。しかし、今年は、円安の進行や、原材料価格・輸送費の高騰など複数の要因が重なった結果、調査対象企業のほとんどで値上げが実施済み、もしくは、予定されています。

1年後の物価上昇を予想する人の割合が増加
日本銀行が7月6日に発表した「生活意識に関するアンケート調査」によると、1年後の物価について、『上がる*』と考えている人の割合は8割台後半、5年後の物価について、『上がる*』と考えている人の割合も約8割となったことが分かりました(右下図)。

1年前の同調査では、前者が6割台後半、後者が約8割だったことから、直近1年間で1年後の物価について上昇を予想する人の割合が大きく増加したこと、また、5年後の物価については、上昇を予想している人の割合が引き続き高いことが確認できます。
『上がる』は「かなり上がる」と「少し上がる」の合計。

資産運用の必要性について改めて考える
物価上昇から資産を守る有効な手段の1つとして、「資産運用」があります。投資資産の中でも、特に株式やREIT(不動産投資信託)は物価上昇に対応可能な資産として魅力があるといわれます。

もちろん、投資にはリスクがつきものですが、一般的に、投資対象を分散することでリスクの低減が期待されるほか、時間の分散を図る積立投資や長期投資によって、運用リターンは安定化する傾向があります。また、国内資産に限らず、海外資産も投資対象に含めれば、分散効果が高まるだけでなく、世界経済の成長の恩恵を受けやすくなると考えられます。

物価上昇が続く中、現預金を積み上げるのではなく、物価上昇に負けないように、資産運用を始めてみるのはいかがでしょうか。

【図表】[左図]2022年の食品値上げ品目数の推移、[右図]1年後、5年後の物価に対する見通し
  • 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。