6月以降、0.75ポイントの大幅追加利上げが続く
米FRB(連邦準備制度理事会)は、9月20~21日に開催したFOMC(連邦公開市場委員会)で、3会合連続となる0.75ポイントの追加利上げを決定し、政策金利(FFレートの誘導目標)を3.00~3.25%と、2008年以来の水準としました。
利上げ幅は市場予想通りだったものの、FOMC参加者の見通しやパウエルFRB議長の会見内容が利上げに前向きなタカ派寄りと受け止められ、21日の米国市場では、国債利回りが短期債で上昇したほか、ドルが買われ、ドル・インデックスは20年ぶりの高値を更新しました。その一方、景気鈍化の可能性が懸念され、長期債では利回りが低下したほか、株式相場は下落しました。
インフレ抑制に向け、今後も利上げを継続
左下のグラフの通り、米国では、消費者物価指数が今年6月に前年同月比+9.1%と、1981年11月以来約40年半ぶりの高い伸びを記録しました。その後、インフレ率はやや鈍化したものの、直近8月でも8%台と、FRBが目標とする2%を大きく上回っています。また、右下のグラフに見られる通り、労働市場の需給がタイトで、賃金上昇が続いており、インフレの長期化につながる可能性があります。
こうした中、今回示されたFOMC参加者の見通し(中央値)では、総じて、経済成長率が下方修正、失業率も悪化方向に修正となったほか、インフレ率と政策金利は引き上げられました。つまり、インフレ目標の達成までには時間を要し、経済成長の鈍化や失業率の上昇という代償を伴なうことが示唆されています。
利上げのピークは4.6%、利下げは24年からか
政策金利の見通しは今年末で4.4%と、市場予想を上回りました。年内残り2回のFOMCで計1.25ポイントの利上げが想定されている形で、次回11月の会合でも0.75ポイントの利上げが決まる可能性があります。また、その後の見通しは、23年末:4.6%、24年末:3.9%、25年末:2.9%となっています。このように、今回の利上げ局面でのピークが4.6%となり、パウエル議長が性急な利下げは避けるべきと繰り返し述べているように、利下げは24年からとなる可能性が示唆されています。
ただし、今後の利上げについては、事前に何も決定されてはおらず、パウエル議長は会見で、年内の利上げ幅を計1ポイントにとどめることを支持するFOMC参加者もかなり多いことを強調しました。
FRBは、今後のFOMCでも毎回、物価や労働市場などの状況を踏まえ、慎重かつ柔軟な舵取りを行なっていくと期待されます。
- 9月20~21日のFOMCの議事要旨の公表は10/12
FRBの発表などをもとに日興アセットマネジメントが作成
- 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。