9月の株式市場では、前月に引き続き、欧米などの高インフレと金融引き締めを受けた景気悪化懸念が続いたものの、米インフレのピークアウト期待などを背景に、中旬にかけて欧米長期金利の上昇が一服し、株価が上昇する局面もありました。しかし、その後、米FOMC(連邦公開市場委員会)で3会合連続となる0.75ポイントの大幅利上げが決定され、今後もインフレ抑制に向けて引き締めの手を緩めることはないとの姿勢が示されました。また、英国での大型経済対策の発表やイタリア総選挙での右派連合の勝利などを受け、欧米の国債利回りが一段と上昇したことなどを背景に投資家心理が悪化し、株価は月末にかけて下落基調となりました。

米経済指標や日銀の動向に注目
市場では、引き続き各国・地域におけるインフレや金利の動向が注目される神経質な地合いが続くと見込まれます。米国では、次回11月のFOMCでも大幅な利上げが行なわれる可能性があり、雇用統計などの経済指標や、12日に公表予定の9月のFOMC議事要旨の内容に注目が集まります。また、日本では、急激な円安進行に伴ない物価高が家計を圧迫するとの懸念が高まっており、政府も為替介入に動くなど、対応を迫られています。為替介入による通貨安抑制の効果は限定的との声もあり、27日から開催される日銀金融政策決定会合において、通貨安や物価高に関してどのような見解が示されるか、注目されます。さらに、政府は10月末を目途に総合経済対策を取りまとめるとしており、予算の規模などが注目されます。

企業の7-9月期決算発表が本格化
10月中旬以降、米国や日本で企業の7-9月期決算発表が本格化します。米国ではインフレ抑制に向けた金融引き締めや米ドル高が続き、日本でも急激な為替変動が問題視されるなど、市場環境の不透明感が増す中、足元の業績のみならず、企業側の今後の業績見通しにも大きな注目が集まります。

中国では5年に1度の党大会が開催予定
中国では、16日から、党幹部の人事などを決める第20期中国共産党全国代表大会が開催される予定です。同大会は5年に1度開催されるもので、習近平総書記(国家主席)が5年間の実績や今後の方針を報告するほか、党の主要幹部である中央委員が選ばれます。また、党大会終了後には、第20期中央委員会第1回全体会議(1中全会)を開き、党の最高幹部を選出する流れとなっており、習氏が異例の3期目を目指す中、新体制の布陣と、今後5年間、更にはそれ以降の党の大方針が焦点となっています。

【図表】10月の注目される金融政策および政治・経済イベント
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成。スケジュールは予告なしに変更される可能性があります。
  • 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。