1月、4月、7月に続き、4回連続の下方修正
IMF(国際通貨基金)は、10月11日に最新の世界経済見通しを発表し、2023年のGDP成長率を前回7月の予測から▲0.2ポイントの2.7%に下方修正しました。これは、世界金融危機やコロナ禍でマイナス成長となった、それぞれ、2009年、2020年を除くと、2001年以来の低い伸びです。
今後、世界の3分の1が景気後退に
2022年については、米国の見通しが大きな下方修正となったものの、ユーロ圏や新興国全体では上方修正となり、世界全体の見通しは3.2%と、修正はありませんでした。
ただし、ロシアのウクライナ侵攻や、エネルギー・食品の価格高騰、インフレの昂進、金利上昇などの複合的要因により、欧米や中国という世界経済のけん引役が失速し、世界の3分の1の国が今後、景気後退期入りを示唆する2四半期連続のマイナス成長に陥ると、IMFは見込んでいます。
2023年については、金利上昇に起因する米経済の減速、天然ガスの価格高騰による欧州経済への打撃、新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)や不動産セクターの低迷に伴なう中国経済の低迷で見通しが下方修正となりました。
米国の見通しは1.0%で変わりなかったものの、ユーロ圏は0.7ポイントの下方修正で0.5%となりました。また、厳格なゼロコロナ政策を掲げる中国の場合、2022年の成長率が3.2%と、コロナ禍のピークだった2020年を除くと、過去40年で最も低い見通しながら、2023年も4.4%と、加速は限定的とみられています。
また、世界のインフレ率について、IMFは、2022年の8.8%でピークをつけるものの、当初予想より長い間、高止まりするとして、2023年は6.5%、そして、2024年は4.1%と想定しています。
リスク・シナリオでは2023年に2%割れも
IMFは、リスク要因として、金融・財政政策の誤り、米ドル高とその悪影響、燃料価格の急騰などに伴なうインフレの長期化、中国での不動産投資の急減などを挙げています。そして、2023年の世界の成長率が2%を下回る確率を25%、マイナス成長に陥る可能性を10%超としています。
今後、果たして世界経済がIMFの基本見通し寄りの方向に進むのか、それとも、リスク・シナリオ寄りとなるのか、コロナ禍やウクライナ紛争の行方、世界的なインフレとそれに伴なう利上げの動きなどが引き続き注目されます。
- 上記は過去のものおよび予測であり、将来を約束するものではありません。