大統領の信任投票としての側面がある中間選挙
米国では、11月8日に中間選挙が行なわれる予定です。中間選挙とは、4年ごとの大統領選挙の中間の年の11月に実施される、上下両院議員や州知事などを対象とした選挙のことをいい、今回は、上院35議席、下院全435議席、州知事36ポストが改選対象となります。

中間選挙には、一般的に現職の大統領に対する信任投票としての側面があり、今回の場合、インフレに対する政権の対応や人工妊娠中絶、銃規制などへの賛否が主な論点となっています。

市場では上下両院とも共和党が優勢と予想
現在の米議会の議席構成は、上院では与党の民主党と野党の共和党が50議席ずつ、下院では民主党が220議席、共和党が212議席となっています(左下図)。

資料作成時点では、上院の事実上の多数派を民主党が死守する可能性はあるものの、上下両院で共和党が優勢との市場予想が多く見られます。共和党が上下両院の多数派となった場合、財政政策の規模が制限されるほか、化石燃料の活用を訴える共和党議員からの批判を受け、ESG投資が縮小する可能性もあります。また、下院でのみ共和党が多数派となった場合でも、連邦債務上限の引き上げに共和党の同意が必要となるなど、政権運営の難航が予想されます。いずれの場合でも、政権の政策実行力に影響が出るとみられていることから、投票の行方に注目が集まります。

米国株式は、中間選挙後に上昇する傾向
投資の観点では、「米国株式市場は、中間選挙後、大統領選に向けて良好なパフォーマンスになりやすい」というアノマリー(経験則)が注目されます。

米国の代表的な株価指数であるS&P500指数のデータを確認すると、1950年以降で、中間選挙の年の10月末から翌年4月末までの6ヵ月間、また、翌年10月末までの1年間のリターンがマイナスとなったケースは、いずれも一度もありません。また、中間選挙の年の10月末からの平均リターンは、6ヵ月間で+15.2%、1年間で+17.1%、2年間で+25.6%と、中間選挙の年の10月末から2年後の大統領選にかけて投資期間が長いほどリターンが大きくなる傾向が見られます(右下図)。

足元の株式市場では、株価の変動が大きい状況が続いています。しかし、中間選挙後、議会勢力の動向に対する不透明感の解消や、大統領選に向けた政策期待などを受け、米国株式がアノマリー通りの動きとなる可能性もあり、先行きが注目されます。

【図表】[左図]米議会の議席構成、[右図]中間選挙後のS&P500指数のパフォーマンスは良好
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。