6月以降、4会合連続で0.75ポイントの利上げ
米FRB(連邦準備制度理事会)は、11月1~2日に開催したFOMC(連邦公開市場委員会)で、市場予想通り、4会合連続となる0.75ポイントの追加利上げを決定し、政策金利(FFレートの誘導目標)を3.75~4.00%と、2008年1月以来の水準としました。また、声明では、継続的な利上げが適切との見方を示したものの、今後、利上げペースを和らげる可能性を示唆しました。
声明を受け、2日の米金融市場では、利上げに慎重なハト派寄りの姿勢がみられたとして、国債利回りが低下し、株価は上昇する場面がありました。ところが、その後、パウエルFRB議長の会見を受け、タカ派姿勢に大きな変化はないとの見方が拡がり、国債利回りが上昇に転じ、ハイテク株を中心に株価は反落して取引を終えました。
利上げペースが緩和されるとしても、政策金利の最終到達点は従来想定を上回る見通し
FRBは今回、今年3月の事実上のゼロ金利解除から11月までの合計3.75ポイントの利上げによる累積効果が、景気や物価に影響を及ぼすのに時間を要する点を考慮する、と声明に加えました。そして、議長は会見で、早ければ次回12月の会合での利上げペース緩和の可能性に言及しました。一方で、今後の利上げについて、ペースの緩和よりも、最終到達点をどこにするかや、引き締めをいつまで続けるかの方が、重要な問題になったという認識も示しました。その上で、利上げ停止の議論は時期尚早としただけでなく、政策金利の最終到達点が従来の想定を上回るとの見解を示しました。
こうした背景には、個人・企業の景況感などを中心に、米経済指標には下振れも見られるようになっているものの、左下のグラフの通り、インフレ(物価上昇)率は依然、高水準で、2%の物価目標を大きく上回っているという現実があります。しかも、右下のグラフの通り、労働市場の需給がタイトなままで、賃金上昇が続いており、インフレの長期化につながる可能性が市場で指摘されている状況です。
23年3月にも政策金利の5%超えを市場は想定
FOMC参加者の9月時点の見通しでは、政策金利は2023年末に4.6%でピークと想定されていましたが、11月3日の金利先物市場では、同年3月には5%超となり、年央にかけてさらに上昇するとの見通しが反映されています。ただし、政策金利について事前には何も決まっておらず、FRBは今後のFOMCで毎回、物価や労働市場などの状況を踏まえ、従来以上に慎重かつ柔軟な舵取りを行なっていくとみられます。
- 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。