世界の金融市場を見渡すと、いくつかの不透明要因が存在するのはよくあることです。足元では、欧米を中心とするインフレ高進やそれに伴なう急速な金融引き締め、中国のゼロコロナ政策などが挙げられ、株価も大きく変動する状況が続いています。
このような環境下では、「株式は何かあったときの大幅な下落が怖い。値動きに安定感がある債券の方がいい」と考え、株式への投資を躊躇する方も多いのではないでしょうか。なるべく下落を避け、安定性を重視して投資するなら、債券だけに投資するのも良いかもしれません。しかし、中長期の投資においては、投資資産の一定程度を株式に配分することにより、資産全体としての下落を限定的にできる場合があります。
債券と株式を併せ持つことによるメリット
リーマンショックやコロナショックを含む期間である、2000年1月~2022年11月のデータをもとに振り返ると、世界債券に100%投資した場合と比べて、40%程度までなら、世界株式にも資産を振り分けた方が、分散効果が働き、期間中の最大下落率を抑えられたことが確認できます。たとえば世界株式への投資比率を30%、世界債券への投資比率を70%とした場合の最大下落率は▲23.3%と、世界債券の最大下落率▲27.1%に比べ、下落を抑えられています【左グラフ】。また、リターンに目を向けてみても、世界債券に比べて世界株式の方がリターンが高い傾向にあり、世界株式を併せ持つことで、より高いリターンの獲得につながりました【右グラフ】。つまり、配分次第ではあるものの、株式を併せ持つことは、債券のみに投資する場合と比べ、最大下落率を抑制しつつ、リスク・リターン比で見て効率的なリターンの獲得をめざすための有効な手段であると言えます。
投資信託を通じた株式投資も選択肢の一つに
一般的に、株式の価格変動は債券よりも大きくなります。また、日々、新聞やテレビなどで好悪様々なニュースが取りざたされる中、その時々の保有資産の値動きに一喜一憂してしまいがちです。しかし、未来のための長期的な資産形成を考えた場合、株式や債券などそれぞれの資産の価格よりも、運用資産全体としての値動きに目を向け、投資を行なう必要があると考えられます。今まで株式への投資を怖いと考えていた方々も、下落が怖いからこそ、あえて株式をポートフォリオに加えてみてははいかがでしょうか。
なお、株式への投資にあたっては、個別銘柄への直接投資のみならず、投資信託も手段の一つです。投資信託を通じて投資を行なうことで、幅広い銘柄への分散投資が可能となること、さらに、商品によっては専門家の知見を活用できることなどもあり、有力な投資手段の一つになり得ると考えられます。
- 上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。