2022年12月の金融市場では、上旬に、堅調な米雇用統計などが発表されたことを受け、利上げの長期化観測が拡がり、株価は世界的に軟調な推移となりました。その後も、米FRB(連邦準備制度理事会)やECB(欧州中央銀行)による利上げが続いたほか、金利やインフレの見通しが相次いで引き上げられました。さらに、日銀の金融政策決定会合において、従来±0.25%程度としてきた長期金利の変動許容幅を±0.5%程度へ拡大することなどが決定され、円相場が急上昇しただけでなく、世界的な金融引き締めへの警戒感が高まりました。こうしたことを背景に、欧米を中心に景気減速懸念が強まり、株価は月末にかけて下落基調となりました。

引き続き注目される日米の金融政策の動向
日本では17日から日銀の金融政策決定会合が、米国では31日からFOMC(連邦公開市場委員会)が開催されます。12月は、日銀が予想外の金融緩和の修正を行なったことを受け、国債利回りや円相場が大幅に上昇するなど、市場は大きなサプライズに見舞われました。また、米国では、0.5ポイントと利上げ幅は引き下げられたものの、積極的な利上げが続いているほか、政策金利の最終到達点の予想が引き上げられ、引き締めの長期化による景気後退への懸念が強まっています。このような状況下、両中銀の金融政策に対する市場の関心は一層高まっており、今後の政策運営に関してどのような方針が示されるか、注目されます。

中国では旧正月のコロナ感染拡大が懸念される
ゼロコロナ政策を実質的に終了し、足もとで新型コロナウイルス感染者数の急増が報じられている中国では、21日から27日にかけて、春節(旧正月)の連休期間に入ります。春節の間は、帰省や旅行などに伴なう人々の大移動が予想されるため、同ウイルスのさらなる感染拡大につながる可能性が懸念されています。中国当局は景気てこ入れに焦点を絞る方針を打ち出しているものの、感染者数の増加が続く場合、積極的な経済刺激策を実施しにくくなるほか、物流の混乱や消費の低迷にもつながりかねないことから、同国のコロナ感染状況が注視されます。

2022年10-12月期の企業決算発表が本格化
1月下旬以降、米国や日本で企業の2022年10-12月期決算発表が本格化します。米国を中心に、インフレ抑制のための金融引き締めに伴なう景気後退が懸念される中、企業業績に対する市場参加者の関心は高まっています。また、足元の業績だけでなく、企業側の今後の業績見通しにも大きな注目が集まると考えられます。

【図表】1月の注目される金融政策および政治・経済イベント
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成。スケジュールは予告なしに変更される可能性があります。
  • 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。