依然として相対的に低い日本の金利
足元では、欧米を中心に金融引き締めが続いており、世界的に金利は上昇傾向にあります。日本においても、金融緩和政策の一部修正が決定されましたが、日銀は、引き続き、必要があれば躊躇なく追加的な金融緩和を行なう姿勢を明確にしていることなどから、日本では相対的に低い金利環境が当面続くと見込まれます。

「72の法則」
「72の法則」とは、お金を一定の利回りで複利運用する場合、元金が2倍になるまでに約何年かかるのかを知るための法則です。この考え方によると、日本の金融機関で定期預金を活用した場合*1、預入金を2倍にするには14,400年*2程度の期間を要する計算になります。円建て定期預金の金利水準では、元金を2倍にするにはとてつもない時間が必要であり、元金を殖やす力に乏しいということが確認できます。

  • 預入金額1,000万円以上、1年定期預金の場合、2022年12月15日時点で年利率は0.005%(出所:日本銀行「預金種類別店頭表示金利の平均年利率」)
  • 「72の法則」の式に数値を代入し計算。計算式:72÷0.005=14,400

一方、主要新興国の10年国債利回り(下記グラフ)の水準では、6~11年程度で投資資金が2倍になるという計算になります。為替や債券価格の変動リスクや信用リスク、税金などが影響を与えることから、実際には計算通りに運用成果を得られる訳ではありませんが、債券にも投資を行なうことで、ポートフォリオの分散効果を高めながら安定的に運用することができると考えられます。

インカム収益の積み上げ効果
一般的に、先進国債券は、信用リスクが低く、金利水準も低くなる傾向があります。一方、新興国債券は、金利水準が高い傾向にありますが、信用リスクも高く、価格変動が大きくなりやすい点には注意が必要です。両者のパフォーマンス(裏面グラフ)をけん引する要因の一つとしてインカム収益が挙げられますが、これは、時間の経過とともに積み上がる収益であり、パフォーマンスの安定化に寄与するといえます。債券投資の魅力の一つである、金利の「力(ちから)」を上手に利用し、長期的に資産をじっくり育ててみるのはいかがでしょうか。

【図表】主要先進国および新興国の10年国債利回り(2022年12月末時点)
  • (信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成)
【図表】[上図]先進国債券のパフォーマンス(米ドルベース)、[下図]新興国債券のパフォーマンス(米ドルベース)
  • 先進国債券は、「FTSE世界国債インデックス 除く日本(米ドルベース)」、新興国債券は、「JPモルガン・エマージング・マーケッツ・ボンド・インデックス・グローバル・ディバーシファイド(米ドルベース)」より日興アセットマネジメントが作成
  • インカム収益は、上記インデックスの月末の利回りを用いて日興アセットマネジメントが計算
  • 上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。