市場では米利上げペースの一段の緩和を想定
米国では、1月6日発表の12月の平均時給に続き、12日発表の12月の消費者物価も伸びが鈍化しました。これを受け、市場では、1月31日・2月1日開催のFOMC(連邦公開市場委員会)で、FRB(連邦準備制度理事会)が利上げペースをさらに緩和し、0.25ポイントにするとの見方が強まりました。

賃金の伸びが鈍化し、5%を下回ったほか、モノを中心に物価上昇率も鈍化
12月の雇用統計では、雇用者数の高い伸びが続いたほか、失業率は3.5%と、歴史的な低水準を維持し、労働市場の堅調ぶりが示されました。ただし、平均時給は前年同月比+4.6%と、市場予想を下回ったほか、前月のデータが下方修正されたこともあり、3ヵ月連続での5%割れとなりました。また、12月の消費者物価の前年同月比伸び率は、全体で+6.5%と、6月の+9.1%をピークに6ヵ月連続の鈍化、変動の激しい食料品、エネルギーなどを除いたコア・ベースでも+5.7%と、9月の+6.6%をピークに3ヵ月連続の鈍化となりました。

なお、物価上昇率は目標の2%を依然として大きく上回っています。しかも、下の中央グラフに見られるとおり、モノの価格上昇率の鈍化が全体の上昇率の鈍化につながっているものの、サービス分野では上昇率の加速が続いている状況です。

また、下の右グラフが示すとおり、賃金上昇率についても、鈍化傾向にはあるものの、労働需給が引き続き堅調なことなどから、依然高水準となっており、サービス分野を中心とした物価上昇の長期化につながる可能性があります。

市場の関心は利上げの最終到達点へ
こうした環境下、次の利上げは0.25ポイントとされる可能性が高いとみられますが、その後は、賃金上昇率が落ち着くのに連れ、サービス分野の物価上昇が鈍化するのを待つ展開になると見込まれます。つまり、0.25ポイント幅の利上げを実施したり、時には休止することになるとみられ、その過程で、市場の関心は、利上げの最終到達点(ターミナルレート)の水準や、利下げに転じる時期などに移っていくと見込まれます。

【図表】[上図]当面のFOMC開催予定(下段:議事要旨の公表日)、[下図]22年12月のFOMC参加者の見通し(中央値)
【図表】[左図]米国の消費者物価上昇率(前年同月比)と金利の推移、[右図]米労働市場の主要指標の推移
  • 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。