1月の世界の株式市場では、中国におけるゼロコロナ政策の事実上の終了と、それに伴なう同国の景気回復期待のほか、米国のインフレ鈍化傾向などを受け、中旬にかけて株価は上昇しました。その後は、米国の12月の小売売上高が予想以上に落ち込んだことなどを受けて、景気後退懸念が高まり、株価が下落する場面も見られました。しかし、1月31日~2月1日のFOMC(連邦公開市場委員会)にて、利上げ停止の議論が開始される可能性が報じられたことなどを受け、下旬にかけて再び上昇基調となり、株価は月間で大きく上昇しました。

市場は0.25ポイントへの米利上げ幅縮小を確実視
FRB(連邦準備制度理事会)高官らの発言やインフレの鈍化傾向などを受けて、1月31日~2月1日のFOMCでは、0.25ポイントへの利上げ幅縮小が確実視されています。また、同会合では利上げ停止の議論が開始される可能性があると米経済紙が報じており、FOMC直後のパウエル議長による記者会見や、22日公表予定の議事録の内容が注目されます。

日本では日銀総裁の後任人事に関心が集まる
日本では、4月に任期満了を迎える日銀の黒田総裁の後任人事案が2月中に国会に提示される予定です。新総裁の候補者には、有力視されている雨宮副総裁と中曽前副総裁以外にも、複数の名前が挙がっています。市場では、日銀の大規模金融緩和策の維持には限界があるとみられており、新総裁が誰になったとしても、大規模金融緩和策の修正などを見据えた対応がなされるとの見方が強くなっています。

経済再開を背景に中国の景気回復が期待される
中国の2022年通年でのGDP(国内総生産)成長率は前年比で+3.0%となり、政府目標の「5.5%前後」を下回りました。しかし、同国の政策は、これまでの規制重視から経済重視へと変化しており、当局からも2023年の景気に対して前向きな発言が出ています。市場でも、経済再開を背景に強気の見方が拡がっており、同国の景気回復が世界経済の下支えとなることが期待されています。

引き続き日米の企業決算発表にも注目
日本や米国では、企業決算発表が本格化しています。米国については、前年同期比で約2年ぶりの減益が見込まれていますが、それでも市場予想が楽観的との見方もあり、会社側が慎重な見通しを示す場合などには、市場予想が下方修正される可能性があります。また、日本についても、原料高や円高の影響などから、業績に対して慎重な見方が拡がる中、会社側から先行きについて慎重な見通しが示される場合などには、株価の下押し圧力となる可能性があり、注意が必要です。

【図表】2月の注目される金融政策および政治・経済イベント
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成。スケジュールは予告なしに変更される可能性があります。
  • 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。