3月の金融市場では、米利上げペースの鈍化期待の高まりなどから、上旬に株価は上昇傾向となりました。しかし、中旬には、米国の中堅銀行が相次いで破綻したほか、スイス金融大手の経営不安が高まったことなどを受け、投資家のリスク回避姿勢が急速に強まり、株価は下落基調に転じました。その後、米当局が預金保護などの臨時措置を講じる方針を示したほか、当該スイス金融大手に対する救済買収に同国の金融最大手が合意したことなどを受け、株式市場は落ち着きを取り戻しました。金融システムに対する不安について、解消には至っていないものの、徐々に和らいだことに伴ない、株価は月末にかけて回復基調となりました。

引き続き注目される米国の景気動向
米国では、金融引き締めの影響などから景気後退懸念が高まっており、3月に起こった米中堅銀行の経営破綻は、こうした懸念を強める要因となりました。米当局は事態の収拾に向け、預金保護などの支援策を打ち出しているものの、銀行の貸出し抑制に伴なう信用収縮が懸念されているほか、今後発表される雇用統計などの内容次第では、景気後退懸念が一層強まる恐れもあり、米国における金融システム不安の影響や景気指標の動向が注目されます。

日銀総裁に植田氏が就任、新体制が発足
日本では、9日に経済学者の植田和男氏が日銀の新総裁に就任し、27日には新体制で初となる金融政策決定会合が開催されます。植田氏は2月の所信表明で緩和路線の継続を宣言していますが、市場では金融緩和政策の副作用を指摘する声もあがっており、政策運営について慎重なかじ取りが求められています。28日に公表される経済・物価情勢の展望(展望レポート)では、新たに25年度の経済・物価見通しが示される予定となっており、金融政策決定会合の内容と合わせて、市場参加者から大きな関心が寄せられています。

2023年1-3月期の企業決算発表が本格化
中旬以降、米国や日本で企業の2023年1-3月期決算発表が本格化します。米国などで金融引き締めや金融システム不安の拡がりなどを背景に景気後退懸念が高まる中、企業業績に対する市場参加者の関心は一層強まっています。また、足元の業績だけでなく、企業側の今後の業績見通しにも大きな注目が集まると考えられます。

【図表】4月の注目される金融政策および政治・経済イベント
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成。スケジュールは予告なしに変更される可能性があります。
  • 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。