欧米では、中央銀行の目標を大きく上回る高インフレが続く中、さらなる利上げが実施される可能性が高く、これまでの利上げとあわせた効果などから、景気は減速や低迷を余儀なくされると見込まれています。今年1月に発表されたIMF(国際通貨基金)の世界経済見通しでは、先進国のGDP成長率が2022年の前年比+2.7%から2023年には+1.2%に鈍化することなどから、世界のGDP成長率も+3.4%から+2.9%に鈍化するとされています。ただし、世界のGDP成長率は2024年には+3.1%に持ち直すと予想されており、景気は目先で減速するものの、遠くない将来に加速に転じると想定されていることになります。

世界株式の内、小型株、クオリティ株、高配当株では景気減速局面において耐性が見られる
(図1)左下のグラフは、1999年以降の景気の加速・減速それぞれの局面における、世界株式(配当込み、米ドル・ベース)の主要スタイル毎の平均騰落率です。そして、(図1)右下のグラフは、1998年末から今年3月末までのスタイル別の株価推移です。

これらを見ると、景気の加速、減速の両局面で最も大きく値上がりした小型株が、最高の中長期パフォーマンスを記録しています。小型株に次いで高い中長期パフォーマンスを示したのは、収益力が強く、財務も堅実な、クオリティ株です。クオリティ株は、景気の加速局面での値上がり率では世界株式全体を僅かに下回るものの、減速局面で小型株に次ぐ値上がりとなったことがパフォーマンスに大きく寄与しました。そして、中長期パフォーマンスの第3位は、景気の加速局面でクオリティ株に次ぐ値上がり、減速局面ではクオリティ株に並ぶ値上がりを記録した高配当株です。一方、グロース株は、景気の加速局面では小型株に次ぐ値上がり率ながら、減速局面での値下がりが足を引っ張り、中長期パフォーマンスは振るいませんでした。

【図表】(図1)[左図]景気加速・減速局面での世界株式の平均騰落率、[右図]世界株式のスタイル別の株価推移

投資効率に優れるクオリティ株
次に、主要スタイルのリターンやリスクを比較すると、小型株は、リターンが最も高いものの、株価の振れの大きさからリスクも最も高いため、リスクあたりのリターン、つまり、投資効率は最高とはなっていません。一方、クオリティ株の場合、リターンでは小型株に及ばないものの、リスクが最も低いため、投資効率が最も高くなっています。

中長期の投資に当たっては、景気は常に変動し、良い時もあれば悪い時もあるということを念頭に置いた上で、投資効率の高いクオリティ株に注目してみてはいかがでしょう。

【図表】(図2)世界株式のスタイル別の価格特性
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。