足元、金価格は2022年3月以来の高水準に
2022年のニューヨーク金先物は、ロシアのウクライナ侵攻により、3月に急騰した後、欧米での金融引き締めなどから下落に転じ、11月には一時20年4月以来の安値を記録しました。しかし、その後は、米利上げペースの緩和観測の拡がりなどから、年末にかけて再び上昇傾向となりました。

23年に入ってからも、ニューヨーク金先物は、米金融政策見通しの変化に左右される展開が続きましたが、3月には、欧米での金融不安などから大きく上昇し、足元では、1トロイオンス=2,000米ドル台と、22年3月以来の高水準で推移しています。

需給以外にも様々な要因で金価格は変動
金の値動きは様々な要因の影響を受けます。具体的には、①宝飾品としての需要や②中央銀行の保有需要、③鉱山生産量などの需給が挙げられます。また、代替通貨とみなされていることから、④基軸通貨である米ドルの価値の変化にも影響を受けるほか、実物資産であり、価値がゼロにはならないという性格上、⑤金融市場の安定性や⑥インフレ動向などにも影響されます。さらに、金には金利がつかないというデメリットがあるため、⑦世界的な金利水準や他資産の利回り水準なども金価格に影響を与えます。

金価格の下支え要因として、①インドや中国などの宝飾品需要が引き続き高水準で推移していることや、米ドル依存の回避を目的に、新興国の②中央銀行の保有需要が強まっていることなどが挙げられます。特に、足元では、景気後退懸念などによる⑤投資家心理の悪化や、⑦米国での年内利下げの可能性、④米ドル安の進行などが金価格上昇の追い風になっていると考えられます。

金は分散投資先として選好される傾向
金には、市場の混乱時に「有事の金」として評価される傾向や、株式や債券などと値動きの相関が低いことなどからも、分散投資先として選好される傾向があります。今後も、金融市場の変動に備えてリスク分散を図る必要性が高いと考えられるほか、資産運用におけるストレスの軽減を図るためにも、安全資産とされる金を運用資産に加えてみてはいかがでしょうか。

【図表】金価格は2022年3月以来の高水準で推移
  • 上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。
【図表】金価格は様々な要因によって変動
  • 上記はあくまでも一般論であり、実際はこれと異なる場合があります。
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成