6月の世界株式は、米債務上限問題を巡る懸念が解消されたことから初旬に反発したのに続き、6月のFOMC(連邦公開市場委員会)での金利据え置き観測が拡がったことなどを受けて、中旬にかけて上昇傾向となりました。その後、FOMCで年内2回の追加利上げの可能性が示唆されたことや、中国の景気先行き懸念などが重石となり、下旬には下落傾向となったものの、前月比ではプラスとなりました。なお、TOPIXや日経平均株価が1990年以来の高値をつけたほか、独DAX指数や印SENSEX指数が過去最高値を更新しました。

米利上げ回数や利下げの時期が今後の焦点に
6月のFOMC後の記者会見で、FRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長は、今後の利上げの有無についてはデータ次第と述べました。そのため、0.25ポイントの追加利上げが予想されている7月のFOMCについても、公表される経済指標の内容などによって判断が変わる可能性があります。

なお、パウエル議長は、FOMC参加者の大半が年内2回以上の利上げを想定していると指摘した上で、自身は、7月、9月の連続利上げの可能性も排除しないと述べました。また、利下げについては当面行なわないとの見解も示しました。その一方、市場では、7月のFOMCを最後に利上げが終了し、来年にはFRBが利下げに転じるとの見方が優勢となっています。このように、FRBと市場との間で見通しにずれが生じている中、7月の追加利上げの有無に加え、利上げの回数や利下げの時期などについても、今後、関心が高まることが予想されます。

中国では追加の政策支援が期待される
中国では、不動産市場の低迷などを受けて、景気の減速感が強まっています。6月には、景気刺激策として10ヵ月ぶりの利下げに踏み切ったものの、利下げ幅が予想よりも小さかったことから、市場では失望売りが拡がりました。こうした中、追加の景気刺激策に対する期待が高まっており、7月末にも開催が見込まれる共産党中央政治局会議において、どのような議論が行なわれるのか、注目が集まります。

為替介入や日銀の政策修正への警戒感が強まる
6月は、欧米と日本の金融政策の方向性の違いが改めて意識されたことなどから、急速に円安が進行しました。これを受けて、政府高官から円安をけん制する発言が相次いだものの、それでも円安基調は継続しており、為替介入への警戒感が高まっています。また、日銀内で早期の政策修正を検討すべきとの一部指摘があったことなどもあり、7月の金融政策決定会合に向けて為替の変動が大きくなる可能性があります。

【図表】7月の注目される金融政策および政治・経済イベント
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成。スケジュールは予告なしに変更される可能性があります。
  • 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。