総務省が6月23日に発表した5月の消費者物価指数(全国、生鮮食品を除く総合)は、前年同月比3.2%上昇し、9ヵ月連続で3%超の上昇となりました。また、指数を構成する522品目のうち、8割超の438品目が前年同月比で上昇しました。幅広い品目でインフレが進行する中、特にインフレをけん引しているのは食料(生鮮食品を除く)で、前年同月比9.2%の上昇と、1975年10月以来の上昇率となりました。

今年の食品値上げ品目数は昨年を上回るペース
食品の値上げは、原材料価格の高騰などを背景に、昨年を上回るペースで推移しています。6月30日発表の帝国データバンクの調査によると、今年の値上げ品目数は、発表日時点で、記録的な値上げラッシュとなった昨年の2万5,768品目をすでに上回っており、年末までに、約3万5,000品目に増加することが予想されています。

今後も物価上昇が続くとの見方が多くを占める
生活に身近な食品を中心に、幅広い品目で値上がりが続く中、多くの人が物価上昇に対する実感や、今後も物価上昇が続くとの見通しを強くしているとみられます。4月12日発表の日本銀行のアンケート調査では、1年前に比べて物価の上昇を実感している人の割合は約95%、5年後の物価上昇を予想する人の割合も約75%と、いずれも高い割合を占めていることが示されました。

インフレによって現金の実質的価値が目減りする
では、インフレが進行すると、どのような問題が生じるのでしょうか。インフレの問題点の一つに、現金の実質的価値の目減りが挙げられます。例えば、年率2%の物価上昇が20年間継続した場合、100万円の実質的価値は20年後には約67万円にまで目減りします(左下図)。このように、インフレ下では、現金のままで置いておくと、実質的価値が目減りすることから、現金を、インフレに強い資産に置き換えるなどの対策が必要だと考えられます。

株式投資はインフレ対策として有効である
投資資産の中でも、一般的に、株式はインフレに強い資産といわれます。株価は中長期的には企業の業績によって決まるため、インフレの影響により名目ベースで業績が向上すれば、株価にプラスと考えられます。また、米国では、過去20年間における平均株価リターンが約11.3%(年次)となっており、消費者物価指数の伸びを大きく上回っています(右下図)。株式投資は価格変動リスクを伴なうものの、長期で株式投資を行なっていれば、インフレによる現金の実質的価値の目減り分を補うだけでなく、利益を得ることもできたとみられます。なお、どんな企業でも株価が上昇するわけではなく、インフレ下で十分に値上げを実施できず業績が悪化する企業も存在することなどから、個別銘柄への投資では企業選別が重要と考えられます。また、銘柄の分散も必要とされます。

【図表】[左図]インフレ下での現金の実質的価値の推移、[右図]過去20年間における米国株式の平均年次リターン
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