7月の株式市場は、上旬に米中対立激化や米金融引き締めの長期化などに対する懸念から、米国を中心に軟調な値動きとなりました。しかし、中旬以降は、米国のインフレ鈍化観測や企業業績への期待の高まりなどのほか、FOMC(連邦公開市場委員会)で事前の予想通り、0.25ポイントの利上げが決定され、声明の内容も前回から大きく変わらなかったことなどから、株式市場は月末にかけて概ね堅調に推移しました。なお、日本では、月末に開かれた金融政策決定会合で日銀が政策を一部修正したことを受け、長期金利や株価が大きく変動する場面が見られました。

高インフレが続く英国の金融政策の動向に注目
英国では、3日に金融政策委員会が開催されます。同国では、2020年のEU(欧州連合)離脱以降、移民の減少などによる労働力の不足が続いているほか、足もとでは、医師や教師、鉄道職員など幅広い業種でのストライキも影響し、賃金の上昇圧力が強まっています。そうしたことなどから、同国のインフレ率は米国やユーロ圏と比較して相対的に高い水準となっており、中央銀行のベイリー総裁は、現在の高インフレは容認できないとして、更なる利上げをためらわない姿勢を示しています。しかし、同中銀は今年6月までに13会合連続で利上げを実施するなど、急速な利上げを進めていることから、市場では同国の景気に対する懸念が高まっており、金融政策委員会の内容に関心が集まっています。

ジャクソンホール会議での要人の発言に注目
24~26日には、米国で経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が開催されます。同会議は、1978年に始まった歴史ある会合で、世界の中央銀行総裁や経済学者、エコノミストらが参加します。そこでは、経済・金融に関する重要テーマについて議論が交わされることから、投資家の大きな関心を集めるイベントとなっています。過去には、同会議で金融政策に関する重要なメッセージが発信され、株価や為替が大きく変動したケースもあることから、今年も要人による講演の内容などが注目されます。

引き続き関心を集める日米企業の決算発表
7月下旬から本格化している日米企業の4-6月期決算発表の内容も、引き続き投資家の関心を集めています。米主要企業の業績は前年同期比で減益になると予想されており、IT大手などの決算が控える中、4-6月期実績のほか今後の業績見通しにも大きな注目が集まると考えられます。また、日本では、東京証券取引所が上場企業に対し株価や資本コストを意識した経営の実施を求めたことなどを背景に、積極的な自社株買いが進められており、海外投資家からの資金流入にもつながっています。こうしたことから、自社株買いに対する企業の姿勢も注目点の一つとなっています。

【図表】8月の注目される金融政策および政治・経済イベント
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成。スケジュールは予告なしに変更される可能性があります。
  • 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。