政策金利引き上げか、据え置きかは慎重に判断
米国では8月25日、FRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長がジャクソンホール会議で講演し、インフレ率がなお高過ぎるとして、適切と判断すれば追加利上げに動く用意があると述べました。また、インフレ率が2%の物価目標に向かって持続的に低下していると確信できるまで、金利を景気抑制的な水準に据え置く意向を示しました。ただし、今後の会合で、政策金利を引き上げるか、それとも、据え置いてさらなるデータの発表を待つかについては、慎重に決めると述べました。

こうした発言を受け、当初、長期金利が上昇し、株価は下落したものの、その後、発言内容は利上げの継続も打ち止めも約束しない、想定の範囲内との受け止め方が拡がり、長期金利の上げ幅が縮まったほか、株価は反発に転じました。

サービス分野でのさらなるインフレ鈍化が不可欠
インフレ率は、モノの分野ではかなり鈍化したものの、サービス分野では高止まりしています。また、賃金上昇率も、タイトな労働需給を反映し、4%台前半で高止まりしている状況です。

パウエル議長は今回、インフレ率について、足元ではコア・ベースでも鈍化が見られることを歓迎しつつも、ここ2ヵ月の動きは、インフレ鈍化の道筋について確信を深めるうえで必要なことの始まりに過ぎないと述べました。また、広範なサービス分野における個人消費の継続や逼迫した労働市場が、インフレの目標水準への回帰を困難にする可能性があるとの懸念を改めて示し、サービス分野でのインフレ鈍化の進展が不可欠と指摘しました。

政策判断はますますデータ次第に
先物市場では、9月は金利据え置きとの見方が大勢を占めているものの、11月ないし12月については、0.25ポイントの利上げが決定されるとの見方が金利据え置きとの見方を上回っています。

ただし、FRBの政策判断は今後、ますますデータ次第で変わる可能性があり、サービス分野を中心とした物価上昇率のほか、労働需給や賃金上昇率、さらに、銀行による商業用不動産向け等の与信の状況など、幅広いデータが注目されます。

【図表】[左図]米国の消費者物価上昇率(前年同月比)と金利の推移、[右図]米労働市場の主要指標の推移
【図表】[上図]来春までのFOMC開催予定(下段:議事要旨公表日)、[下図]23年6月のFOMC参加者の見通し(中央値)
  • 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。