相対的に高い経済成長が期待される地域として、近年、アセアン(東南アジア諸国連合)に注目が集まっています。

世界の「開かれた成長センター」、アセアン
アセアンとは、東南アジアに位置する10ヵ国(インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス)で構成される世界有数の経済共同体です。また、2022年11月に東ティモールのアセアン加盟が原則承認、2023年5月には同国の正式加盟に向けた行程表が採択され、今後、加盟国がさらに拡大する見通しです。

アセアン加盟国は近年、高い経済成長を続けており、2000年以降、約20年間で名目GDPは5倍以上に拡大しています。豊富な人口や経済成長に伴なう消費の拡大、積極的な経済連携などを背景に、世界の「開かれた成長センター」として、今後も高水準の経済成長が期待されています。

世界的なサプライチェーンの再構築が進む
2017年の米トランプ政権発足以降、米中の対立が顕在化しています。米国では2022年、同国内での半導体製造を支援する「CHIPS法」が施行されました。この法律では、向こう10年、中国で設備投資を行なわないなどの条件の下、米国内で半導体関連の投資を行なう企業に資金援助するもので、半導体産業の育成に力を入れる中国を強く意識した内容になっています。一方、中国では、政府や国有企業での米ハイテク大手アップルの「iPhone」など海外メーカーの電子機器の業務使用を禁止することが報道されるなど、対抗策を打ち出しています。こうした米中の対立などを背景に、世界の企業は中国に依存したこれまでのサプライチェーンを再構築する必要に迫られています。

アセアンへの投資が急拡大
こうした中、豊富な人口や相対的に安い労働コストに加え、2022年に発効した「RCEP(地域的な包括的経済連携)協定」などの広域経済連携を幅広く結ぶアセアンには、中国を補完する生産拠点「チャイナ・プラスワン」として、世界の企業からの注目が集まっています。米国や欧州などによる投資増加を背景に、アセアンへの投資規模は大きく拡大しています。中でも、製造業への投資額が急拡大しており、アセアン諸国がEV(電気自動車)関連事業の成長に力を入れる中、日本の自動車大手各社や中国のEV大手BYDなどがアセアンでのEV生産に向けて投資を行なうほか、韓国の半導体大手サムスン電子なども多額の投資を行なっています。こうした世界的に名だたる企業の進出が、同地域の経済成長を加速すると期待されます。

【図表】[左図]相対的に高い成長が見込まれるアセアン加盟国、[右図]急拡大するアセアンへの直接投資
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