9月は原油価格の上昇を受けたインフレ高止まりへの懸念などから、米欧の長期金利が上昇し、世界の株式市場ではハイテク株を中心に軟調な相場展開となりました。19-20日のFOMC(米連邦公開市場委員会)では政策金利が据え置かれたものの、参加者による金利見通しがタカ派的と受け止められ、金融引き締めの長期化懸念から世界的に株価が下落しました。そのほか、中国の景気不安やUAW(全米自動車労組)のストライキ、米政府の予算案が9月末までに成立せず、新年度の始まる10月から一部の政府機関が閉鎖される可能性などが株式相場の重石となりました。日本では、円安の進行や内閣改造後の衆院解散・総選挙観測などを背景に中旬にかけて株価が上昇し、TOPIX(東証株価指数)が90年5月以来の高値を付けたものの、月末にかけては下落基調となりました。

米政府閉鎖懸念が引き続き波乱要因となる可能性
米政府機関の閉鎖は、新会計年度入り直前の9月30日夜につなぎ予算が成立したことで、土壇場で回避されました。これにより、米経済の下押し懸念や米国債の格下げ観測などは一旦後退するとみられています。ただし、今回のつなぎ予算は11月17日に期限を迎えるものであり、それまでに2024会計年度の正式な予算が成立しなければ、11月に再び政府閉鎖の懸念が強まる可能性があります。

引き続き米欧の金融政策に注目が集まる
米FRB(連邦準備制度理事会)の利上げが最終局面にあるとみられる中、10月31日-11月1日のFOMCで利上げが決定されるかに注目が集まります。パウエルFRB議長は経済データやリスクを見極めながら慎重に政策判断を行なうと述べており、今後はより一層様々なデータが重視されるとみられます。なお、足元で米国の労働需給の逼迫は和らぎつつある一方、従業員の待遇改善を求める動きが活発化しており、賃金上昇率の高止まりによってインフレ圧力が長引く可能性もあります。パウエル議長はUAWのストライキをリスク要因の一つに挙げており、今後の不確実性は高いとしています。

ECB(欧州中央銀行)は9月の理事会で、10会合連続となる利上げを決定した一方、声明文には利上げ停止を示唆する内容を盛り込みました。背景にはユーロ圏経済の景気減速があるとみられますが、同地域のインフレ率は依然として目標を大きく上回る上、労働市場の逼迫や原油高といった物価の上振れ要因もあることから、ECBは引き続き難しい舵取りを迫られています。

中国の経済指標や重要会議に注目
不動産市況の低迷などから景気の下振れが懸念される中国では、GDPや小売売上高などの経済指標が注目されます。また、10月をめどに開催される中央委員会第三回全体会議(三中全会)では、通常、中長期の主要な経済政策などが決定されることから、今後の中国の方向性を見通す上で重要な会議となります。

【図表】10月の注目される金融政策および政治・経済イベント
  • 信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントが作成。スケジュールは予告なしに変更される可能性があります。
  • 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。