2023年9月中旬以降、欧米で期待されていた利上げ終了の時期が不透明となる中で、金利上昇に伴ない世界的に株価は軟調となっています。

日本の株式市場もこうした影響を受け、9月のTOPIX(東証株価指数)の月間騰落率はマイナスとなり、2023年1月から続いてきた同騰落率のプラスは途絶えました。

日本の株式市場を代表する株価指数として、日経平均株価とTOPIXの2つがよく知られています。日経平均株価は、各産業を代表する225種の銘柄の株価を平均して算出している一方、TOPIXは、日本の株式市場を広範に網羅し、構成全銘柄の値動きを時価総額で加重平均しています。

両指数は算出方法の違いから、指数毎に影響を受けやすい銘柄群が異なります。そのため、日経平均株価をTOPIXで除して算出した、「NT倍率」(下左グラフ参照)の推移をみることで、その時々の株式市場で、どういった銘柄が物色(選好)されていたのか大まかな傾向を探ることができます。

NT倍率の推移から見える株式市場の姿
2018年以降、コロナ禍などを経ながら、概ね世界的にハイテク株などのグロース株が上昇する過程では、日本の主力産業を重点的に組み入れている日経平均株価がTOPIXよりも上昇し、NT倍率も上昇傾向となりました。

一方、2021年以降は、インフレ高進に対応して欧米で政策金利が引き上げられたことにより、金利上昇が逆風とされるグロース株が売られたほか、金利上昇や円安で恩恵を受ける銘柄が買われたことから、TOPIXが堅調な推移をみせ、NT倍率は低下しました。

足元ではどの様な銘柄が物色されているか
2023年の株価の推移(下右グラフ参照)からは、3月末頃から日本株が大きく買われるようになり、主力銘柄で構成される日経平均株価や東証プライム市場指数が先行して上昇したことが分かります。また、当初、中小型株が多く含まれている東証スタンダード市場指数は伸び悩みましたが、6月以降、主力株が伸び悩みを見せる中で上昇を続けるなど、異なる動きを見せました。

このように、株式市場で選好される銘柄は刻々と変化することが、多くの指数を見ることにより分かります。また、すべてが一斉に買われる局面や、足元のような、すべてが売られる局面が稀であることが分かります。

【図表】[左図]主要株価指数の月間騰落率とNT倍率の推移、[右図]主な株価指数の推移
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。