株式市場では、欧米の金融政策の動向や各国の経済統計の発表などを受けて、一時的に似通った動きをみせることがよくあります。足元では、米国の金融政策の方向性や中国経済の行方などを巡り、世界的に株安となることがありました。

株式市場の値動きを表す株価指数は、算出対象とする企業の株価をもとに計算されており、算出対象企業が異なる指数の値動きは異なります。ただし、主要な株価指数を見ると、算出対象企業には世界的に事業を展開する企業(グローバル企業)が多く見られます。こうしたグローバル企業は、主要経済圏の景気や金融政策の影響を受けやすく、その株価変動から主要な株価指数は、ある程度、似通った値動きを見せると考えられます。

相関係数からみる主要な株価指数の推移
そこで、TOPIX(東証株価指数)と主要な株価指数について、値動きの連動性の強弱を過去10年間の相関係数の推移でみると(下グラフ参照)、日経平均株価はもとより、米国および欧州、香港の株価指数も相関係数はプラス(正の相関)になっており、同じ方向に動く傾向があったことが分かります。

ただし、どの期間(過去10年間)も同じような水準であった訳ではなく、相関係数が0.3前後の弱い正の相関の時期がある一方で、0.6程度のやや強い正の相関の時期もありました。

金融政策が連動性に与える影響
また、1990年台後半までは、海外と日本の株価は緩やかな連動性にとどまっていましたが、2000年前後のITバブルの後、連動性を強めています。そして、2008年のリーマン・ショックで連動性を一気に強めることとなりました。

この背景には、世界的な金融危機であるリーマン・ショックを受け、金融システムの崩壊を阻止するために、欧米の金融当局が政策金利の引き下げと共に大量の資金を市場に供給したことが挙げられます。その後も、市場への資金供給は継続されたことから、大きな投資資金が国をまたいで動くことになり、TOPIXと海外の主要な株価指数の連動性が高まったと考えられます。

一方、2018年以降は、米国で金融政策の正常化に向けた動きが出る中で、各国の金融政策の方向性や経済環境がまちまちになったことなどから、TOPIXと海外の主要な株価指数の連動性は低下傾向となっています。

この先、日米欧の金融政策が変化するとみられる中で、この連動性がどう推移していくのか、相関係数は国際分散投資を考える上で重要な指標となるだけに注目されます。

【図表】TOPIXと主要な株価指数の相関係数の推移
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。