10月の世界株式は、米国で複数の地区連銀総裁が追加利上げに否定的な見解を示したことなどから、中旬にかけて上昇しました。しかし、その後は、中国に対する米国の半導体輸出規制の強化が嫌気されたほか、米金融引き締めの長期化懸念などにより、下旬にかけてハイテク株を中心に下落基調となりました。また、中東情勢の緊迫化などから投資家のリスク回避の動きが強まったことも株価の重石となりました。

米政策金利据え置きの予想が優勢
米国では、金融引き締めの長期化や財政悪化への懸念などから、10月には10年物国債利回りが約16年ぶりに一時5%を超えました。足元の長期金利の上昇を受けて、市場では、追加利上げの必要性が低下するとの観測が強まっていることなどから、10月31日~11月1日開催のFOMC(連邦公開市場委員会)で政策金利が据え置かれるとの予想が優勢となっています。ただし、UAW(全米自動車労働組合)によるストライキの影響や賃上げ合意の行方、中東地域での地政学リスクの高まりなどから、米インフレの高止まりが意識される可能性もあり、FRB(連邦準備制度理事会)がどのように判断するのか、引き続き、注目が集まります。

ハマスとイスラエル軍との戦闘激化の可能性
パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスが、10月7日にイスラエルを攻撃して以降、イスラエル軍によるハマスへの報復が続いています。今後、戦闘がさらに激化すれば、犠牲の拡大は避けられず、株式市場でも投資家のリスク回避の動きが加速する可能性があります。

本格化している日米企業の決算発表に注目
10月中旬から日米の企業決算発表が本格化しており、引き続き注目を集めることが予想されます。米国では、主要企業の2023年7~9月期決算において、前年同期比で1年ぶりに増益に転じるとみられています。また、日本の主要企業の2023年4~9月期決算では、円安の進行や国内需要の回復などを背景に、業績の上振れ期待が強くなっているほか、株主還元のさらなる拡大も期待されます。

米年末商戦を前に、小売各社はセールを開催
米国では、11月24日のブラックフライデーから年末商戦が始まります。足元で小売売上高が増加基調となっているものの、コロナ禍で積み上がっていた家計貯蓄の大幅な減少のほか、学生ローンの返済再開やインフレなどの影響が懸念されています。消費者が日用品以外の商品を買い控える中、小売各社は年末商戦前にセールを打ち出し、消費者の需要を前倒しで取り込もうとしています。その動きが年末商戦での消費者の購買行動にどのような影響を与えるのか、関心を集めています。

【図表】11月の注目される金融政策および政治・経済イベント
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成。スケジュールは予告なしに変更される可能性があります。
  • 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。