足元でインフレが急速に進み負担増を実感するなか、株高や円安進行なども相まって、資産運用の重要性を感じる方も多いのではないでしょうか。資産運用というと、いきなり「何の資産を、いつ、どれくらい、買うべきか」を考えてしまいがちです。こうした時、投資信託は手軽で便利な資産運用手段ですが、まずその前に、資産運用の考え方を整理することが大切です。

まずは、預貯金の基礎工事と「土台」づくり
資産運用は家づくりと同様、下準備として、預貯金でしっかりと基盤を固めることが必要です。その上で、ようやく資産運用の「土台」づくりに進みます。土台としては、相場下落時にも値動きが相対的に小さいものを多く持っていると、それらが心の動揺を抑える働きをしてくれます。例えば投資信託であれば、複数の資産に分散されたバランスファンドや債券ファンドなどが挙げられます。

土台の上に「株式の柱」を、「インカムの器」は必要に応じて用意
広くてぶれない土台ができたら、その上に立てたいのが「株式の柱」です。金融資産全体としてインフレの影響に負けずに資産を成長させていく“エンジン役”として、重要な役割を担います。

株式というと、価格変動が大きくリスクの高い資産という印象を持たれがちですが、中長期的には、経済成長を享受しうる資産でもあります。そのため、柱を選ぶ際は、短期的な値動きに惑わされることなく、じっくり長く保有できるものを選ぶことが大切です。投資信託では、インデックスファンドのほか、中長期的な成長分野の投資機会をしっかり捉えることを目指すアクティブファンドがあります。例えば、デジタル化や脱炭素が世界的な潮流となるなか、ロボティクスやEV(電気自動車)といったテクノロジー分野の株価上昇期待は高く、それらの恩恵が期待できるテーマ型ファンドなどが挙げられます。

このほか、「インカムの器」として、毎月や隔月など分配頻度の高い投資信託を通じて定期収入を目指す手段がありますが、これは「受け取る分」だけ運用額を減らすことになるため、運用効率の低下につながります。運用資産を取り崩してまで受け取る必要があるのか、考えることが大切です。

インフレに強い資産で、資産全体を成長させる
インフレが進行すると、現金価値は実質的に目減りして家計負担が増える一方、企業は収益を確保しようと製品などへ価格転嫁を行ない、これに成功した企業は株価上昇につながります。実際、足元の企業決算では、価格転嫁などの恩恵を受けて好決算を発表する企業も多く見られました。こうした点からも、株式の活用はインフレ下で資産全体を成長させるために有効な手段と考えられます。

なお、株式と中長期で向き合うという観点では、積み立てを活用してコツコツ運用しながら資産を育てるという方法もあわせて考えることで、運用の選択肢が広がります。

【図表】[左図]足元の物価高で、家計は実質負担増、[右図]資産成長の“エンジン役”として重要な「株式」
  • 厚生労働省など、信頼できると判断したデータを基に日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。