足元、欧米で長く続いてきた政策金利の引き上げ局面が既に終了したとの見方が強まるなか、金利低下を背景に株価は戻り歩調となり、11月20日には日経平均株価が本年つけたバブル崩壊後の高値を一時上回りました。

株価につながる2つの指標、-EPSとPER-
株価は、日々、市場における需給関係で決定されますが、市場参加者の適正株価を考える根底には、企業業績への予想があります。

株価を企業のEPS(一株当たり利益)で除した数値はPER(株価収益率)と呼ばれており、市場の過熱感を図る指標とされています。また、株価はこの2つ指標を用いた数式、「株価=EPS×PER」で導き出せます。

一般にEPSは企業の努力(自助努力および外部・市況要因)、PERは市場の趨勢(リスク許容度)と考えることが出来ますので、株価とは企業の収益力と市場におけるその期待度合いということも可能です。実際に、2020年以降のTOPIX(東証株価指数)の値動きとEPS、PERの推移(下グラフ参照)からは、株価の裏にあるEPSとPERの関連性が見えてきます。

新型コロナウイルス感染拡大による混乱が見られた2020年、春先から株価は急落した後、夏にかけて落ち着きを取り戻し、秋から年末にかけて回復しました。この間のEPSの推移からは、緊急事態宣言などにより経済が混乱した結果、企業業績は低迷していたことがわかります。一方で、コロナ禍での対応などが進む中で、企業業績の底打ちや回復期待が先行して高まり、PERは高い水準で推移しました。

その後、2月ごろから業績予想が新年度に移るなかで、2021年は実際の業績発表より先に、市場における期待が現実を織り込んだ結果、高水準にあったPERが、平均的な水準に収束したと考えられます。

業績向上に伴なう株価上昇に妥当性はある
2023年、日本の株式市場は1990年初めから長く続く低迷を終え、バブル崩壊の後の高値をめざす状況となっています。

株価だけを見れば、相当高くなってきたと感じますが、株価の背景にある企業業績(EPS)は順調に伸びてきており、将来への期待についてもPERは過熱感が少ない水準にとどまっていることから、2023年の株価上昇は、企業業績で説明可能な、妥当な範囲にあると考えられます。

【図表】TOPIXの推移(価格、予想EPS、予想PER)
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。