2023年の夏以降、米欧で金融引き締めの長期化懸念が拡がった局面では長期金利が上昇し、世界的に株価が調整しました。しかし、米欧の長期金利がピークを打ったとみられる秋以降、世界の株式相場は反発傾向にあり、米・欧・日の主要株価指数が年初来高値に近づいています。

この背景として、米欧での利上げ打ち止め観測にとどまらず、来年の利下げ期待が強まっていることが挙げられます。また、企業業績見通しが概ね堅調なことも関係しているとみられます。

ここで、主要株価指数ベースの予想EPS(1株当たり利益)の推移を見ると、独DAXの場合には緩やかな低下傾向となっているものの、米ナスダック総合およびS&P500や日TOPIXについては上昇基調となっています。

IMF(国際通貨基金)が10月に発表した見通しでは、2024年の世界の経済成長率は2.9%と、2023年を0.1ポイント下回る想定となっています。しかし、米国では、インフレ率が緩やかながらも鈍化傾向となる一方、経済や労働市場は依然堅調であることから、景気後退を回避し、軟着陸するとの見方が強まりつつある模様です。また、不動産不況などを背景に先行きが不安視されてきた中国については、当局の景気支援策強化などを受け、IMFは今月初め、同国の2023年、24年の成長率見通しを上方修正しました。

こうした中、企業業績見通しが今後も堅調を維持するか、さらに改善する場合、株価を支えると期待されます。日本株式については、株価水準に割高感がみられないこともあり、特に注目されます。

【図表】[上図]主要株価指数の予想EPSと米金利の推移、[下図]主要株価指数と予想PERの推移
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。