トルコ中央銀行は11月23日、政策金利を35%から40%へ引き上げることを金融政策決定会合で決めました。利上げは今年6月以降、6会合連続で、しかも、今回の利上げ幅が市場予想の倍となったこともあり、通算の利上げ幅は31.5ポイント(8.5%→40.0%)に及びます。しかし、通貨リラは23日にこそ対米ドルで僅かに上昇したものの、24日には反落し、最安値を更新しました。また、対円でも、21日に最安値をつけた後、23日にかけてやや反発したものの、24日には反落し、安値圏にとどまっている状況です。
中銀は利上げをまもなく終える意向を示す
トルコのインフレ率の見通しは、中央銀行が11月に発表した予想では、2023年末:65%、12ヵ月先:36%、11月に公表された市場調査ではそれぞれ、67.23%、43.94%となっています。中央銀行は、今回の追加利上げにより、政策金利がインフレ解消に向けた道筋の確立に必要な水準に近づいたとして、今後、引き締めペースを落とし、利上げサイクルを近く終えるとの意向を声明で示しました。ただし、物価の安定を維持すべく、引き締め姿勢は必要な限り維持するとして、量的引き締めを継続する意向なども示しています。
今回の動きを受け、市場では、次回12月21日の金融政策決定会合で2.5ポイントの追加利上げが行なわれるとの見方が拡がっています。一方、その次の2024年1月の会合については、利上げが継続されるかどうか、見解が分かれています。
なお、同年3月には地方選挙が予定されています。その接近に伴ない、エルドアン大統領が金融緩和を求める可能性もあり、利上げ局面の終了後も、中央銀行の姿勢が注目されます。
信認回復への道のりは長い
高インフレ以外にも、同国は、巨額の経常赤字や低水準の外貨準備など、経済面での脆弱性が目立つことなどから、リラを取り巻く環境は依然、厳しい状況です。そうした環境が改善に向かうとの兆しが増えれば、市場の評価が変化し始める可能性も否定できないものの、それまでにはまだ時間を要する模様です。
- 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
- 上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。