政策金利は3会合連続で据え置き
米FRB(連邦準備制度理事会)が12月12日~13日に開催したFOMC(連邦公開市場委員会)では、市場予想どおり、政策金利(FFレートの誘導目標)が5.25~5.50%で据え置かれました。また、会合参加者の予想(中央値)として、2024年に0.75ポイントの利下げを想定していることが示されました。

FRBのパウエル議長はFOMC後の会見で、「政策金利は今回の引き締め局面のピークに達したか、その近くにある」とし、「追加利上げの可能性は低いと考えるが、排除したくない」と述べたものの、今回、利下げについて議論したことを認めました。13日の金融市場では、2024年の利下げ観測が強まり、国債利回りが低下、株価は続伸し、ニューヨーク・ダウ工業株30種が史上最高値を更新したほか、S&P500、ナスダック総合の両指数も年初来高値を更新しました。また、円相場は1米ドル=142円台に上昇しました。

インフレ率の鈍化ペースが足元で弱まる
米国のインフレ率は、モノの分野では大きく鈍化し、サービス分野でも鈍化が進んだものの、依然として高い水準にあるほか、足元で鈍化ペースが弱まりました。また、労働参加率が伸び、人手不足は緩和方向にあるものの、景気減速に向かうなかでも労働市場は底堅く推移しています。こうした状況を踏まえると、根強い賃金上昇圧力などを背景に、サービス分野を中心としたインフレ率の高止まりや再加速の可能性も考えられることから、FRBは、もしもの場合への備えとして追加利上げの可能性を排除していないのだとみられます。

市場の利下げ期待とFRBの見方の間に乖離
13日の米金利先物市場では、利下げが2024年3月にも始まる確率が70%台に上昇し、同年の利下げ幅は1.0ポイントを超えると想定されています。景気やインフレ率がFOMC参加者の想定方向に向かうとすれば、早晩、利下げが視野に入ってくるものの、現状では、市場での期待とFRBの見方の間には乖離が見受けられます。それがどのような形で埋まることになるのか、今後も、サービス分野を中心としたインフレ率のほか、労働需給や賃金上昇率、長期金利の水準など、幅広いデータが注目されます。

【図表】[上図]当面のFOMC開催予定(下段:議事要旨の公表日)、[下図]23年12月のFOMC参加者の見通し(中央値)
【図表】[左図]米国の消費者物価上昇率(前年同月比)と金利の推移、[右図]米労働市場の主要指標の推移
  • 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。