2023年の金融市場は、前年から続く世界的な高インフレと主要国の金融政策の動向に左右される展開となりましたが、年間パフォーマンスはリスク資産を中心にほとんどの資産でプラスとなりました。

特に堅調となった先進国株式市場では、3月に米国の中堅銀行が相次いで破綻したほか、スイス金融大手の経営不安などを受け、株価が下落する局面もみられましたが、米利上げペースの鈍化期待などを背景に、年前半は、堅調な推移となりました。年後半は、米金融引き締めの長期化懸念の強まりなどを受けた長期金利の上昇や、中東情勢の緊迫化などを背景に、10月下旬にかけて軟調となりました。しかしその後、主要中央銀行の利上げ終了観測が強まり、年末にかけて大きく上昇し、欧米の主要株価指数が最高値を更新しました。

米FRB(連邦準備制度理事会)は、7月までに計4回の利上げを行ない、政策金利の誘導目標を、22年ぶりの高水準となる5.25%~5.5%まで引き上げました。その後は、インフレ鈍化を背景に、12月まで政策金利の据え置きを続けました。さらに2024年中の利下げ観測が強まったことから、年末にかけて長期金利は低下基調となり、これを受けて、債券価格が堅調となったほか、グローバルREITが選好される展開となりました。

外国資産については、利上げの最終局面にあるとみられる欧米と、マイナス金利の解除観測が強まる日本の金融政策の方向性の違いなどから秋にかけて円安が進行し、円ベースのパフォーマンスを押し上げることとなりました。

国内資産については、米著名投資家が強気の姿勢を示したほか企業改革への期待などから、株式が11月の取引時間中に、バブル崩壊後の高値を更新しました。一方で、金融政策変更への警戒感などから、REITは冴えない推移となりました。

なお、過去の主要資産の年間パフォーマンスを振り返ると、パフォーマンスの良い資産は一定ではなく、また、各資産の騰落には法則性もみられません。こうしたことから、中長期において運用成果を向上させるためには、好パフォーマンスをあげる資産を当てることに重きを置くのではなく、個人のリスク許容度に合わせて、国内外の幅広い資産に分散投資を行なうことが重要といえそうです。

【図表】主要資産の年間パフォーマンス<2016年~2023年:円換算ベース>
  • (信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成)
  • 上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。